年収500万円以上の正社員5割がキャリア転換を検討 - 職責・年収が意向に影響か
2025年5月30日(金)11時36分 マイナビニュース
NTTデータ経営研究所は5月29日、「令和のキャリアプラン実態調査-キャリア形成とリスキリングの現在地-」の結果を発表した。調査は2024年7月23日〜26日、就業中の20〜60代以上の男女1,055名(男性531名、女性524名)を対象にインターネットで行われた。
正社員(840名)を対象に、企業が導入する主要なキャリア施策(12項目)の実施状況、認知度、利用度、満足度、必要性の認識について調査した。その結果、「キャリア施策を認知している」と回答した人は全体の53.4%と過半数を超えたが、実際に「利用している」と回答した人は11.9%にとどまり、活用の広がりに課題があることが明らかに。
また施策利用者の評価では、すべての施策において「低評価」が「高評価」を上回る傾向が見られ、満足度の低さが際立つ結果に。加えて、キャリア施策の必要性について「どの施策にも必要性を感じない」と回答した人は25.2%にのぼり、キャリア支援に対する低関心層が一定数存在することが分かった。
続いて、正社員を対象に、社外転職や社内での役職・職種変更、雇用形態や勤務地の変更などの「キャリア転換」の意向を聞いたところ、役職別では係長クラス以上の各層でいずれも70%以上が転換を想定しており、主任・リーダークラスは51.0%、役職なしは24.4%にとどまった。
年収別では、500万円以上の層で約50%が転換を想定していたのに対し、500万円未満の層では17.8〜38.6%にとどまり、10ポイント以上の差が。これらの結果から、一定の職責や経済的余裕を持つ層ほど、自律的かつ前向きにキャリアを再設計しようとする意向が高いことが示唆された。
次に、正社員および契約社員(132名)を対象に、12スキル領域別のリスキリング実施状況を分析した結果、「取り組んでいる」と回答した割合は正社員で34.9%、契約社員では22.7%にとどまり、雇用形態による実施率に差があることが明らかに。
正社員の中でも、役職なし(最も高い層との差:24.7ポイント)、従業員規模300人未満の企業(同22.9ポイント)、年収200万円未満の層(同37.1ポイント)において、特に実施率が低い傾向が見受けられた。
なかでもDX推進に不可欠な「デジタル・ITスキル」(AI、ビッグデータ、セキュリティ、プログラミングなど)への取り組みは、正社員で18.6%、契約社員では9.1%にとどまり、非デジタル領域(正社員34.2%、契約社員22.0%)と比べて半分以下の水準に。特に正社員の50代では、デジタル・ITスキルの実施率が10%未満と、世代間でも大きな差が生じていることがわかった。