羊〝毛刈り〟記録に異変...なぜ飼育員の髪までも!? 動物園「みんなスッキリしたよ」

2024年6月7日(金)20時0分 Jタウンネット

動物園に行くと、動物たちが作業中の飼育員さんにとても懐いている様子を見られたりする。

普段から愛情をもって、時には体を張りながらもお世話をしているからこそ、動物たちも彼らを慕っているのだろう。

中には、「そこまでするの!?」というくらい動物たちと一心同体になっている、こんな飼育員さんもいるようだ。

こちらは、関東在住のXユーザー・おーあ(@kanazawakitecho)さんが2024年6月3日に投稿した画像だ。

「みんなスッキリしたよ!」

と書かれた張り紙には、4匹の羊それぞれの毛刈りのビフォーアフターを写した写真が添付されている。

モコモコだった羊たちの毛もきれいに刈られてスッキリ! それを隣で見守る飼育員さんの髪の毛もスッキリ......スッキリ刈られてる!? なんで!?

投稿するときに気付いた

4日、Jタウンネット記者の取材に応じた投稿者・おーあさんによると、写真を発見したのは神奈川県横浜市にある金沢動物園。2日に同園のカピバラ展示場前に掲示されていたという。

「いつも飼育員さんや事務員さんが細かく掲示を更新されるので、毎回目についた掲示は全て読んでいます。その中で、今年の毛刈り結果の写真を撮りました」(おーあさん)

その後、備忘録として撮影した写真をX上に投稿しようとした際、飼育員も「毛刈り」していることに気づいたそう。

一体なぜ、羊と一緒に飼育員まで「毛刈り」をしたのだろうか?

記者は6日、金沢動物園にも話を聞いた。

1年がかりの「実験」だった

取材に応じてくれたのは、同園飼育展示係の先﨑優さん。羊と一緒に「毛刈り」をした飼育員その人だ。

先﨑さんによると、羊たちの毛刈りを行ったのは26日のこと。

羊は羊毛を利用するために作出された家畜であるため、季節ごとに毛が抜け替わることがなく、長く伸びた毛は人間が刈り取る必要がある。

そのため金沢動物園では毎年、暑い夏が来る前に毛刈りを実施。その報告として毛刈り前後の写真を園内に掲出している。

しかし、飼育員の散髪を一緒に行ったのは、今年が初めて。

一体なぜ、今年は一緒に散髪をすることになったのか。きっかけは1つの素朴な疑問だった。

「羊毛の刈り取り量は1年で数キロになりますが、じゃあ人間はどれくらい毛がとれるんだろう? と、ずっと気になっていました」(先﨑さん)

しかし、その疑問の答えは調べても分からない。

そこで、先﨑さんは自分自身の髪の毛を1年間伸ばし、実験することにした。

毛刈り当日、26日。羊の毛を刈るシェアラ—(毛刈り職人)さんが休憩時間を利用して、先﨑さんの伸びに伸びた髪もカット。刈り取った毛の重さを計測した。

「今回1頭で最高3.3キログラムの毛が取れたヒツジに対して、自分は100グラムという結果でした」(先﨑さん)

つまり、羊は1年間で人間の約33倍もの量の体毛が伸びるというわけだ。彼らがあれだけフワフワモコモコしているのも、この数字を見れば納得である。

先﨑さんの体を張った実験の記録には、X上でこんな声が寄せられている。

「動物に見本を示す飼育員の鏡」
「羊さんも飼育員さんもかわいいです」
「飼育員さんのbefore afterもほしい」

ちなみに、羊たちと先﨑さんの毛刈り当日の詳しい様子は、金沢動物園公式サイトの6月5日のブログ「羊ってすごいね」で公開中。

気になった読者の皆さんは、こちらもあわせてチェックしてみてほしい。

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