ワイルドでタクティカル!渋いカラーリングも男心をくすぐる“軍モノ”ミリタリースニーカー5選
2024年6月25日(火)8時0分 JBpress
今や運動靴という枠組みを飛び越え、1つのカルチャーとしても世界中で愛されているスニーカー。その魅力である軽快な履き心地と個性豊かなデザインは、一流の革靴を日々の相棒とする読者諸氏をも魅了してやまない。ここでは“本物”を知る大人の男が選ぶべきスニーカーを提案する。
写真=青木和也 スタイリング=泉敦夫 文=TOMMY 編集=名知正登
1960年代後半から1970年代前半のアメリカで、激化していくベトナム戦争に対する反戦の意思表示としてヒッピーたちの間で着られるようになり、やがてファッションの定番となったミリタリーウェア。
俗にメンズのカジュアルファッションを構成する4つの要素とされるトラッド、ワーク、スポーツ、その最後の1つに数えられる。この異なる本質を備える各々に、“伝統”“武骨”“軽快”と漢字2文字を当てはめるならば、ミリタリーのそれは間違いなく“機能”と言えるだろう。
これはミリタリーギアに課せられた“生死がかかった戦場で任務を遂行し、無事生還する”という使命に起因する。この使命を全うすべく、ミルスペックと呼ばれる厳格な軍用規格に従って制作されたそれらは、優れた実用性と機能美を有するだけなく、ヒストリカルな背景から溢れ出すロマンが、モノ好きと称される人々の心を捉えて離さない。
今回はこの“ミリタリー=軍モノ”をテーマに5足を招集。最新テクノロジーを搭載し、タフに仕上げられたタクティカル仕様。本来であれば紛れて隠れるためのものでありながら、最上のアクセントにもなるカモフラ柄。生い立ちが好奇心を刺激する軍用トレーニングシューズと、時に直接的に、時に間接的にと切り口を変えながら、その魅力に迫る。では全軍、行動開始!
1. MERRELL「AGILITY PEAK 5 TACTICAL GORE-TEX」
タクティカルのタフさとトレランの柔軟さを両立
“生死がかかった状況下で目的を遂行し、無事生還する”という共通性を持つことから多くのアウトドアブランドが、軍用プロダクツを開発し供給してきた。メレルにも特殊部隊のニーズに応えるべく、専門製造チームが厳選した素材を搭載したラインが存在することを、ご存知か。あらゆる場面において優れたパフォーマンスを発揮する高機能厚底ソールユニット搭載の「アジリティーピーク 5」をタフなスペックで仕上げた本作もそこに属する。
耐久性に優れたウーブンテキスタイル×TPU補強のアッパーにはゴアテックスメンブレンも搭載。安定感とスムーズな踏み込みを促進するロッカー構造のツーリングシステムに、長時間の活動でも快適なフットベッドと、不整地でも最高のグリップを発揮するアウトソールが連隊を組むことで、厳しい環境下でも抜群の履き心地を提供するのだ。
2. SUPERGA ARTIFACT「MIL-SPEC LC POLISH CAMO」
ワークとミリタリーを掛け合わせ、カモをひと振り
100年以上もの歴史を誇り、“イタリアの国民靴”とも称されるスペルガ。1925年に誕生したモデル「2750」に代表されるように、キャンバス素材のアッパーとラバーソールで構成されたシンプルなローテクシューズを得意とし、近年ではヴィーガン認定を受けたエコフレンドリーなモノづくりを標榜しているが、実はイタリア海軍への官給実績もあって、ミリタリーとは縁が深いことでも知られる。
メンズ初のプレミアムラインからのリリースとなる本作は、1950年代に同社のワークブーツで使用されていた重厚感溢れるカレンダーソールと、ポリッシュカモ柄のアッパーのコンビネーションによる骨太な佇まいが魅力だ。実用性と洗練されたベーシックを好む大人の足元を新鮮なカモフラージュ柄で彩ることで、薄着の季節にも絶好のアクセントとなり得る。
3. Hender Scheme「citizen trainer」
軍モノでありながらも、洗練された佇まい
ミリタリーシューズと聞いて、多くの人々の脳裏にまず思い浮かぶのが、1970年代〜90年代にかけてドイツ軍が採用していた「ジャーマントレーナー」だろう。様々なブランドがこれをモチーフとしてきたが、エンダースキーマの場合は、ひと味違う。
漂う雰囲気を変えることなく、内側と外側で異なるデザインをドッキングさせたアッパーに、ミーリングで弾力を出したカウレザーと上品な風合いのインポートスウェードをコンビ使い。あえてメダリオンをあしらうことで軍モノに不可欠な機能性を打ち消し、エレガントな匂いを付加。さらにヒール部よりもトゥ側をノンライニング構造にすることで屈曲性も十分。柔らかな足馴染みが楽しめるだけでなく、その洗練された佇まいの一端を担い、さらには経年変化にも期待ができよう。
4. REPRODUCTION OF FOUND「BRITISH MIRITARY TRAINER」
英国軍のトレーニングシューズをモディファイド
世界各国の軍隊が採用してきたトレーニングシューズを、当時の生産背景やデザインを再現した上で、現代に甦らせてきた同ブランド。中でも先述の「ジャーマントレーナー」が著名だが、周囲に差を付けるならこちら。1990年代にイギリス軍で採用されていた「ブリティッシュミリタリートレーナー」の機能性を高めたモディファイド機である。
アッパーは上質なイタリアンスウェードレザーと強靭なコーデュラナイロンのコンビ。さらにライニングは、耐久性に優れたメッシュ生地で通気性を高めることで、着用時の快適性をさらにアップ。そして最大の特徴が、グリップ力と耐衝撃吸収に優れたポリウレタンとラバーで2層構造になった特殊部隊用ソール。絶妙なボリューム感と抜群の踏破性で、スタイリングを文字通り足元から支える。
5. PRAS「SHELLCAP LOW OX」
“JAPANISM PRODUCTS”を掲げる玄人好みの1足
最後もミリタリートレーナーシューズから題を取ってはいるが、その容貌は一転、まさにシンプルそのもの。貝殻を模したトゥキャップがあしらわれたアッパーには、糸だけでなく撚りにもこだわり、スニーカーに適したオンスで独自に調整・開発した高密度オックスフォード生地、児島帆布を採用。これにコールドマーセ加工を施すことで、自然な風合いを損なうことなく、光沢感とドライ感、そしてタフネスを兼ね備えることに成功。
またモノ好き心をくすぐるのが、久留米ムーンスター社にて職人の手によるバルカナイズド製法で仕上げられている点だ。コントラクトナンバー(国防兵站局発注番号)をイメージした左足外側のスタンプがその証左。こちらも1足1足すべて手押し。“分かる者には分かる”という優越感を楽しんでもらいたい。
筆者:TOMMY