オオカミ少年の話は効かない!?「嘘をつく子」に効く“あの偉人”の話とは|臨床心理士解説

2021年8月3日(火)11時55分 マイナビ子育て

些細なことだけど、度重なる「子どもの嘘」に悩む保護者の方は少なくありません。大人からしたら見え見えだけれど、しれっとごまかす姿勢に思わずイライラとしたり、こんなんで大丈夫かと心配になったり……。そんな「嘘をつく子ども」にはどう対処すればいいのでしょうか? 厳しく追求して叱る? それとも??

(文:うららか相談室 野瀬綾子/臨床心理士・公認心理師)

嘘をついたりごまかしたりする子どもたち

外出前に「トイレに行っておいてね」と伝えると本当は行っていないのに「もう行ったよ!」と言ったり、学校からまっすぐ帰ってくるように言っているのに寄り道をしてきて「学校で居残りしていた」と言ったりと、ちょっとした嘘をつくこともあります。

嘘が多い子には、追求ではなく「お願い」で対抗

例えば帰宅後手を洗っていないのに洗った、宿題が残っているのにもう終わったといったような自分が面倒なことをごまかすための嘘については、一旦は受け入れてから「でも今からおやつだからもう一度洗ってこようか」「ちょっと心配だからお母さんにも確認させてね」などといったように、嘘の追及ではなく、こちらの都合や思いでこうしてほしいとお願いする方がスムーズに行動に導けるかと思います。

見過ごせない嘘だった時は……

何とか目をつぶれるところはつぶったとしても、自分を守るための嘘や誰かを傷つける嘘については見過ごしたくありませんよね。しかし、こうした嘘についても、真正面から追及しても反発されてしまい、本質的な話をするまでに時間がかかるところがあります。

例えば友達に意地悪をしてしまったことを否定してきたとして、「あんた何でそんなことしたの!ごまかさないの!」ではなく「あれ、私が知っていることとちょっと違うと思うな。ほんとはどうだったのか、考えてから話してね」と伝えてください。問い詰められるのではなく、子ども自身が自分で考えて答えることが大切です。そして本当のことを話してくれたら「本当のことを話してくれてありがとう」とほめた上で、何が間違っていたのかを話すようにしましょう。

肯定的な立ち位置での「正直に話してね」が効果大

とある心理学の実験では、自分のついた嘘に追い詰められたオオカミ少年の話と、桜の木を折ってしまったことを正直に打ち明けて父から褒められたアメリカ初代大統領のジョージ・ワシントンの話では、ワシントンのエピソードを聞いた子どもたちの方が嘘をつくことが減ったという報告もあります[*1]。嘘は駄目と言われると制限されている感じがして反発を覚えてしまいますが、「正直に話してね」と言われるとよりストレートに伝わりますし、肯定的な指示の方が受け入れやすいと考えられます。

—————————

そのほか、中間反抗期の特徴や対応の方法、屁理屈・無視タイプへの対処法については、以下の記事の中で詳しく解説しています。▶︎小学入学前後に来た「中間反抗期」の5つの特徴とは?効果ありの対処法とタイプ別関わりのコツ【心理カウンセラー解説】(文:うららか相談室 野瀬綾子/臨床心理士・公認心理師)

※本記事は上記の記事を一部抜粋したものです※画像はイメージです

人気連載「教えて保育士さん」シリーズの記事はこちら>>>心理カウンセラーが解説「親子の心理学」シリーズの記事はこちら>>>

この記事の執筆者 臨床心理士・公認心理師野瀬 綾子 先生

臨床心理士・公認心理師。大学院修了後は、精神科病院・リハビリテーション病院で心理士として、小中学校ではスクールカウンセラーとして、また若者サポートステーションやひきこもり支援センターで相談員として勤務。精神疾患、認知症、高次脳機能障害、脊椎損傷のご本人様やご家族様の相談、発達障害や不登校、いじめ、子育てのお悩みへの対応、ニートやひきこもりの方への支援、就労相談や8050問題への対応を担当。現在、うららか相談室にてビデオ・電話によるオンラインカウンセリングを受付中。■野瀬綾子先生への相談

参考文献[*1]KangLee et al.Can Classic Molal Stories Promote Honesty in Children?,2014 PsychologicalScience25(8)

マイナビ子育て

「臨床心理士」をもっと詳しく

「臨床心理士」のニュース

「臨床心理士」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ