「子供を抱っこして電車に乗ったら、優先席の老婦人が『座って』。それを見ていた中年男性が怒鳴りつけてきて...」（東京都・40代女性）

お年寄りには席を譲るもの。子供にそう教えている親も多いのではないか。

今回、編集部に届いたのはその逆で、「杖を持った老婦人が席を譲ってくれて、断りきれなかった」というエピソード。

さらに、投稿者のR本さん（仮名、40代女性）が本当に困ったのは、子供が譲ってもらった席に座ってからで......。

譲り合いのくり返し、しかたなく座ったら突然...

何年か前、0歳と7歳の2人の子供を連れて電車に乗りました。下の子は抱っこです。

すると、目の前の優先席に座っていた杖を持った老婦人が

「良かったら座ってちょうだい」

と、立ち上がりました。

子供を抱っこしているのが大変そうに見えたのかもしれません。

「すぐ降りますし本当に結構です」と、何度も断るのですが、老婦人はニコニコと席を勧めずっと座ってくれません。

「立っていないと赤ちゃんが泣いてしまうから座れないんです」とも伝えましたが、そうすると

「坊や、せめて坊やが座ってちょうだい」

と、7歳の息子に言います。杖をついた老人の代わりに子供が座るわけにもいきません。

「本当に結構ですので、お掛けになってください」

ずっとこの繰り返し。とうとう、目的地のひと駅手前まで来てしまいました。

老婦人はきっと最後まで座ってくれないのでは。ちょっとだけ座らせてもらってお礼を言ったほうが、彼女も気持ちが良いかもしれないと考えました。

「じゃあ、ありがたく」と、短時間のつもりで息子を座らせました。

すると、突然後ろから

「そういうことするから駄目なんだよ！」

と、男性の怒鳴り声が。対面に座っていた中年男性が、立ち上がって私に怒鳴っています。

「正義を成した顔をしていました」

「こっちに座ってください！」と男性は老婦人を自分の席に座らせました。正義を成した顔をしていました。

老婦人は、私と息子に申し訳ないと思ったのか、眉間にしわを寄せて目をぎゅっとつむっていました。

すぐに降りる駅に着いたので何も言えず降りたのですが、彼女の辛そうな顔が忘れられません。どうしたら良かったんだろう。悶々と考えながら家に帰りました。

夕食のときにその話を夫にしたら、

「だったらお前が先に席を譲れって話だろ」

と、一言。

ああ、確かにそうだ。彼が代わりに譲ってくれても良かったじゃないか、優先席だし。

自分を責めていた気持ちが少し楽になりました。

正しさって難しい。

あの老婦人には「ありがとう」とひとこと言いたかったな。

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