「この世は何もかも男のためにデザインされている」スマホ、自動車、教科書、薬まで… “透明人間な女性”論に注目集まる!

2019年4月3日(水)14時0分 tocana

イメージ画像:「Gretty Images」

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 フェミニストのジャーナリスト、キャロライン・クリアード・ペレス氏による新著『Invisible Women: Exposing Data Bias In A World Designed For Men(透明人間な女たち:男たちのためにデザインされた世の中をデータで検証)』が話題になっている。現代社会は、男性の使い勝手に合わせてデザインされていると解説しているのだ。


■スマホも車も処方薬も男性が標準


 例えば、スマホ。女性の手のひらサイズからすると、なんだか大きすぎて持ちにくい、使いづらいと感じたことはないだろうか。音声認識を採用したアプリやサービスにイラついたりとか、医者からもらった薬が効きすぎるとか、夏のオフィスで、エアコンの設定温度を22℃にされたことでクーラー病になったりとか。


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 ペレス氏は、これら一見些末とも思える事象を3年間じっくり検証したところ、その膨大なデータから見えてきたものがあるという。家庭や職場、学校で、女性たちが日々遭遇する、ちょっとした違和感や不便さのほとんどが、実は「社会全体の女性軽視」が原因であると持論を展開する。


 アメリカの小学校で使う歴史の教科書には、1960年〜1990年までの記述に女性の名前は9%しか登場しない。2017年の政治学の教科書でも10.8%だけという。このように、初等教育からすでにジェンダー・ギャップは始まっているらしい。ペレス氏は、これこそが刷り込みであるとし、「男子のほうが女子より“アタマがいい”」と感じるようになる原因なのではと述べている。


 また、自動車事故では女性の方が男性より47%も重傷を負いやすい。これは、女性の方が小柄なため、シートポジションがハンドルと近くなるためだという。自動車メーカーは、この事実が車内でのけがのリスクを高めているとしている。だが、女性ドライバーがブレーキやアクセルペダルを奥まで踏み込むには、シートの位置を前方に調節する以外方法はない。


■女性は“透明人間”


「この数字に見るジェンダー・ギャップは、決して悪意や故意によるものではありません。ですが、追突事故に対する安全対策は、女性の体重や身長を考慮しておらず、致命的といえます。これが私の言う『透明人間な女性』なのです。男性優遇の社会の中で、女性がまったく可視化されていません」(キャロライン・クリアード・ペレス氏)


 また、医薬品の効き目に性差が出るのも、創薬に男性の生理機能をデフォルトにしているからだという。他にも、音声認識技術の開発には男性の声が採用されているため、女性の声を認識しづらいことが指摘されている。地球人口の半分は女性なのに、確かにこれではアンフェアと言わざるを得ない。


「ユニバーサルデザイン」や「女性目線」が叫ばれて久しい。普遍化した「男性目線」をリセットすることは、並大抵のことではないかもしれないが、より住みやすい社会を目指して推進していってほしいと願う。


(文=佐藤Kay)


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