2人でアンダー1万円! コスパも味も大満足の「東京最旬フレンチ」4選

2019年9月12日(木)12時1分 食楽web


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 味はレストラン以上、でも値段はビストロ以下。今、東京でそんなフレンチを提供するお店が増え続けているのをご存知ですか? 店主の個性が明確に反映されたところも多く、料理も酒も自由そのもの。そんな雰囲気に釣られて、リピートしたくなること間違いなしなお店を4店ご紹介します。

 どのお店も、そのお手軽さの裏に「フレンチを気軽に楽しんでもらいたい」という店主の想いが感じられるお店ばかり。個性あふれるメニューの品々には「これってフレンチなの?」と驚くようなものも。その店でしか出会えないフレンチを、気軽にいただけるのが大きな魅力ですね。

大衆酒場的フレンチ『BOLT』(神楽坂)

本日のお会計

写真左から
●ガリシア栗豚…2700円
●カリフラワームースと〆鯖…1,700円
●モルタデッラハムカツ…950円
●ドメーヌ・バイィ・ルヴェルディ ソーヴィニヨン・ブラン…1000円×2
●マルティン・ヴァスマー ピノ・ノワール…1200円
●ミルミドン シラー…1100円
合計…9650円
※料理の価格はすべて2人前相当


レシピを聞けば納得するものの、誰しもが思いつかない「コロンブスの卵」的な料理を理想とする仲田シェフ

「ジャンルでいえば、居酒屋フレンチでしょうか。いつでも誰とでも来れるオールマイティな店を目指しました」そう話しながら仲田高広シェフが仕込んでいたのは、ラーメン。「〆にラーメンがあったらうれしいかな、と」と、何食わぬ顔です。ところが、多彩に揃う料理を口にしてみれば、フレンチのエスプリ香る味に圧倒されてしまいます。


カウンター9席のみ。予約でいっぱいですが、2順目以降の予約は取らないため、19時過ぎに訪れてみるのも良いです

 仲田シェフは名店『マルディグラ』の和知徹さんの元で料理人としてのキャリアをスタート。続いて『レスプリ ミタニ』で巨匠・三谷青吾さんに師事し、正統派の技を習得。その後はフランスとオーストラリアで学び、帰国後はなんと名居酒屋『赤坂 まるしげ』へ。そんな多彩な経験の集大成こそ、この『BOLT』なのです。ジビエもあれば、ラーメンやカレーもある。そのすべてにフレンチの技とエスプリ、そして「大衆的でありたい」という仲田さんの思いが込められています。

●SHOP INFO

店名:BOLT(ボルト)

住:東京都新宿区箪笥町27 神楽坂佐藤ビル1F
TEL:03-5579-8740
営:17:00〜24:00(23:30LO)
休:月、第2.4火

多様な個性を一つの美味に。『anicca』(西荻窪)

本日のお会計

写真右上から時計回りに
●地鶏のステーキ、マッシュポテトと(腿)…2600円
●和鴨のコンフィと芽吹き野菜…1800円
●野菜の前菜盛り合わせ…1800円
●熟成させた鰆のミキュイと蕎麦の実…1600円
●グラスワイン…800円×2
合計…9400円
※料理の価格はすべて2人前相当


高須さんはヘアスタイリストからシェフに転身した個性派。「最近は郷土料理に興味があります。懐かしくて楽しい味をフレンチで表現したい」とのこと

 ひと皿に、盛り込まれる食材は多種多様。例えば、コンフィなら鴨以外にスペルト小麦と大徳寺納豆、チコリ、ナスタチウムとマイクロアマランサス。複雑に聞こえますが、食べれば何とも楽しく、個性が団結してひとつの美味に結実した見事な一体感を感じます。

「鴨は玉露でマリネしています。小麦は、ほうじ茶で茹でて……」と驚くようなことを、シェフの高須貴大さんは、事も無げに語ります。「彼の頭の中には設計図がある。いつも試作しています」と語るのはサービス担当の太田佑也さん。


築50年ほどの民家を改装。1階と2階があります

 この店の開店は昨年末。季節の移ろいとともに、自分たちも流動的に食材と向き合い、ゲストと旬を共有する。そう願って「無常」を意味する『アニカ』と名付けたそうです。「ベースはフレンチですが、要素はいろいろ取り入れていきたい」と太田さん。だから、シェフも貪欲。食べ手はただ美味に感激し、味と香り、食感が醸す、組み合わせの妙を楽しむのみです。

●SHOP INFO

店名:anicca(アニカ)

住:東京都武蔵野市吉祥寺東町4-15-13
TEL:0422-27-5335
営:17:00〜フード22:30LO、ドリンク23:00LO(土・日のみランチ営業12:00〜14:30LO)
休:火

自然体で憩える町の居酒屋『Ketoku』(豪徳寺)

本日のお会計

写真右上から時計回りに
●梅味玉子、鯖の生ハム、新じゃが、バジルマヨネーズ…700円
●アニスシードの豚まん…400円
●イカの塩辛コブミカンの香り…400円
●比内地鶏骨付きもも肉、“だまこ鍋”仕立て…2600円
●「シュマン デ サラン」ドメーヌ・ジュリアン・メイエー…4000円
合計…8100円
※料理の価格はすべて2人前相当


店主の松岡悠さんは、三軒茶屋のビストロ『uguisu』に10年在籍

 多様化する東京フレンチの今を象徴しているのがまさにこちらのお店。メニューには塩辛、梅味、豚まん、だまこ鍋など、およそフレンチとは思えない文字がずらり。「僕はパテに、レモンサワーでも全然いいと思っています」と静かに語るのは店主の松岡悠さんです。

 飲食店がやりたい。漠然とそう願っていた松岡さん。縁あって入った店がビストロで、だから、学んだのはフレンチの技法。でも、10年が経ち、独立を考えたとき頭に浮かんだのはプライベートで通っていた町の居酒屋でした。親父さんがひとりでやっていて常連が来ると「1本貰うよ」と勝手に冷蔵庫からビールを取り出すような…。


店は豪徳寺と山下の2駅から至近という抜群の立地。カウンターのほかテーブルもあり、「お子様連れでも歓迎します」とのこと

「居酒屋ってニュートラルだと思うんです。行きたいときに行けて、何を食べて何を飲んでもいい。そんな店が僕には相応しいです」

 自然体を貫くフレンチ。店主も客もリベラルに楽しんでいるからこそ、この店で「始めは泡」とか、「前菜が魚ならメインは肉」などの理屈は不要なのです。

●SHOP INFO

店名:Ketoku(ケトク)

住:東京都世田谷区宮坂2-26-4 豪徳寺コーポラス1F
TEL:03-6413-7569
営:17:00〜24:00(23:00LO)
休:日・祝

気分はまるで“家”!『YOSHIDA HOUSE』(広尾)

本日のお会計

写真左から
●タコの燻製とウフマヨネーズ…734円
●ブイヤベース…2462円
●野菜の一皿…1058円
●グラスワイン…756円×4
合計…7278円
※料理の価格はすべて2人前相当


吉田さんは魚屋に一年勤めた経験もあり、以降、週2、3回は市場に行き必ず現物を見ます。「知らない食材に出合うと、モチベーションも上がります!」

「菜花は茹でて、パプリカはグリル。蕪のように土っぽい野菜は胡桃オイルでマリネ。いつも15種類は盛ります……あれ? 今日は18種類あります!(笑)」

 快活に「野菜の一皿」を語るオーナーシェフの吉田佑真さん。彼がこの店を始めたのは年明け早々。文字通りの一軒家ですが、「元は中華料理屋さんでした。閉店間際、内見で来てみたら、大勢の常連さんで賑わっていて。愛されている店だと感じて、即決しました」


カウンターのある店内に中華屋の面影が残ります

 つまりは、それが吉田さんの理想像。フレンチ畑をずっと歩んできたから、料理の核はそこにあるけれど、築きたいのはジャンルの垣根を越えて、訪れる客のすべてが食べて飲んで、楽しく過ごせる“家”。

 理想に近づくためなら、少々の苦労は厭わないのが吉田さん。忙しい中、市場にだって足繁く通うし、ひと皿のポーションも、ガツンと行きます! 旺盛なサービス精神で今日も吉田さんは家の厨房に立っています。

●SHOP INFO

店名:YOSHIDA HOUSE(ヨシダハウス)

住:東京都渋谷区広尾5-20-5
TEL:03-5860-2139
営:18:00〜翌2:00LO
休:不定休

(文◎田代いたる・鴫原夏来 撮影◎sono・鈴木拓也・鵜澤明彦・菊池陽一郎)

※当記事は『食楽』2019年春号の記事を再構成したものです

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