「良かれと思って」の指摘を「クレーム・老害」と受け取られてしまう…。細かいミスを注意する前に確認するべき点とは

2024年10月1日(火)6時30分 婦人公論.jp


(写真提供:Photo AC)

厚生労働省の発表によると、1999年から2022年までの間に、一般労働者の平均年齢が39.7歳から43.7歳に上がったそうです。このような状況のなか、流創株式会社代表取締役の前田康二郎さんは「仕事で『メンター』として慕われる人と『老害』として嫌われる人は紙一重」と語っています。そこで今回は、前田さんの著書『メンターになる人、老害になる人。』から一部引用、再編集してお届けします。

* * * * * * *

相手との関係性ができるまでは細かいミスに気付いても指摘しない


年始に、ちょっといいレストランに知人達と食事に行ったときのことです。

席に着くと「お品書き」がありました。お品書きを読みながら「楽しみだね」と言い合っていると、私はお品書きの右下に小さく書いてある日付に違和感を持ちました。

「なんか変だな……」と思ってよく見ると、「2024年1月*日」でなければいけないのが、「2023年1月*日」になっていたのです。

多分お品書きをパソコンで作って印字をしていたのだと思うのですが、年始ということもあって年数を直し忘れていたのです。

そしてまだ年が明けて数日しか経っていないので、お店の人もお客さんも誰も気付いていないようでした。

そこで私は知人達に「これ、年数が違っているから教えてあげたほうがいいかな」と言いました。

知人達は「本当だ。こんな小さな間違いをよくもまあ見つけたね」と言った後、呆れたように口々に「あのさあ、そういう意地悪、年始からやめなよ」と言ったのです。

知人からのお叱り


「どうして? そんなつもりじゃないよ。間違っているものはすぐ指摘したほうがお店にとってもいいんじゃない?」

と反論すると

「だってさ、こんな日付、間違えていたところで誰にも影響ないじゃん」

「そうだよ、今あなたがそれを指摘したら閉店後のミーティングで担当者が正月早々怒られるんだよ」

「明日、お品書き担当の子が自分でミスに気付けば『お客さんから誰もクレームがなかったから、自分で最初に気付けてよかった』ってなるかもしれないし、上司が明日気付いて『お客様が気付く前に直せてよかったね』となるかもしれないじゃん」

「そもそもこんな細かいところまで見てるの、あなただけだから。もっと優しくなろうよ」

と口々にお叱りを受けました。

なるほど、これが「主張していることは理屈上正しいけれど、コミュニケーションの側面から見ると行き過ぎた正義感、余計なお世話、不寛容、老害」ということなのだなと反省しました。

関係性ができている人から間違いを指摘されたら、それは「善意」だと相手もわかりますが、そうでない場合は「良かれと思って」の指摘が「クレーム」「悪意」「老害」と受け取られる可能性もあるかもしれません。

即席チームでのコミュニケーション


「でもそんな関係性を構築するまで待っている余裕がない環境だったらどうするんだ」というケースもあるでしょう。

私もベンチャー企業のような環境の変化が激しい職場ばかりでしたので、即席チームでも少しのミスもなく完璧に仕事をしなければいけないという癖が身体に染みついています。


(写真提供:Photo AC)

では当時、自分はどのようにコミュニケーションをとって仕事をしてきていたかと思い返してみますと、たとえば「この業務は絶対に間違えてはいけないから、もしあなたの作業で間違いを見つけたらすぐ指摘するし、時間がない時はあなたの許可なく間違いを直接直してしまうかもしれないけど、それでも大丈夫?」と相手に許可を得ていました。

そして「間違いを都度指摘するけど、意地悪とか悪意でやっているわけではないからね」と伝えていました。

黙って見守る優しさ


新しい人間同士ですぐプロジェクトを推し進めなければいけない時はこのような形で最初に確認しあうのも一つの方法だと思います。

ただ一般的には、新しい環境に馴染む際に、関係性ができていない中で、あれこれ指摘したり主張したりすると、良かれと思ってしたことが、逆に関係性をぎくしゃくさせてしまうこともあります。

そのため、関係性が構築できるまでは細かいミスなど相手の気になるところがあっても黙って見守る優しさを持つことも大切だと思います。

※本稿は、『メンターになる人、老害になる人。』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

婦人公論.jp

「老害」をもっと詳しく

「老害」のニュース

「老害」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ