石巻だからこそできる、多様でクリエイティブな生き方。

2022年10月3日(月)16時45分 ソトコト

アート・文化に力を入れたまちづくり。


まずインプット・トークとして、齋藤正美(まさみ)・石巻市長より地域の魅力や取り組みについての紹介がありました。「石巻市は風光明媚で、海の幸・山の幸など食が豊か。仙台からのアクセスもよく、『日本製紙石巻工場』をはじめとして就労の場が整っています。第一次産業から第六次産業までがしっかりと根付いた、住みやすいまちです」と齋藤市長。また、「文化面にも力を入れており、漫画家・石ノ森章太郎さんとのご縁で、漫画を中心としたまちづくりを進めています。全国の漫画家志望者が石巻で学べるように、シェアハウスを用意するなどのサポートも計画中」とのこと。2021年4月には市民会館と文化センターが一体化した『マルホンまきあーとテラス』もオープンしました。








東日本大震災以降、石巻市には多くのボランティアが訪れ、移住する人も増えました。市としても、人口減少に歯止めをかけるべく、結婚や子育てに対する支援を充実させています。「家事・育児支援を行うヘルパーを派遣する『育児ヘルパー事業』や、地域でつながりながら育児の援助活動を行う『ファミリーサポート事業』などを実施し、働きながら安心して子育てができる環境を整備しています」と齋藤市長は説明します。「さらに、野球場や陸上競技場の建設も計画しています。文化・芸術、スポーツ、食など、多彩な魅力にあふれた石巻に、ぜひ来てください」と力強くアピールしました。





続いて、齋藤市長と『LIFULL HOME'S総研』所長の島原万丈(まんじょう)さん、「ソトコト」編集長の指出一正、移住者を交えてのトークセッション。指出は、「アートや漁業、子育てなど、生活全般において、石巻は“関わりしろ”が満点なまちだと常々思っています」とコメント。また島原さんは、「石巻は、都市的な要素と自然豊かなところの両方があり、バランスがよいまち。都市部とそうでない地域の文化的格差が課題になっているので、アート・文化に力を入れているという点がいいですね」と述べました。


現地会場には、まちづくりに取り組む『ISHINOMAKI2.0』代表理事の松村豪太さんも同席。「東日本大震災後、単に元に戻すという意味での“復興”ではなく、新しいまちへとアップデートするために、さまざまなプロジェクトを企画・展開し、今までになかったコミュニケーションを生み出しています」と松村さんは話します。





「今一番ワクワクしているのは、8月20日から始まった『リボーンアート・フェスティバル』という芸術祭です。世界的なアーティストの方々の作品が、石巻市各エリアで見られるんです」と松村さん。齋藤市長も「『リボーンアート・フェスティバル』は3回目の開催となりますが、おかげさまで石巻は盛り上がっています」と話します。





新しいチャレンジが次々に生まれ、まちを彩る。


首都圏から近いこともあり、石巻には震災後多くのボランティアが入ってきました。そこで生まれたエネルギーは今もまちに息づき、映画館跡にビール醸造所ができたり、空き家を改修して劇場がオープンしたりと、新しい動きにつながっています。


ビール醸造所を立ち上げたのは、『イシノマキ・ファーム』代表理事の髙橋由佳さん。「ソーシャルファーム」というコンセプトを掲げて北上町でホップを栽培し、クラフトビール「巻風(まきかぜ)エール」をつくっています。「最初は委託醸造していたのですが、せっかくだからビールを自前でつくっては? という声がありました。そんなとき、石巻最後の映画館『日活パール劇場』が売りに出て、『何とか残さねば……!』と思い、醸造所にしました。多くの方々に応援していただき、地域のみなさんにおいしいと言っていただいて、ありがたいかぎりです」と髙橋さんは話します。


島原さんは「クラフトビールは増えていますが、原材料まで地元産というところはなかなかありません。最初にホップをつくっていたという点がすばらしいですね」とコメント。さらに、「地方は都市部に比べて生活費が安いというイメージがありますが、1本660円のクラフトビールがちゃんと売れている。いい物をつくれば売れるという、マーケットのポテンシャルがあるのです」と考察しました。また松村さんは、「まち中にマイクロブルワリーができたことで、新しい体験・文化が生まれ、都市部との文化的格差を乗り越えるポテンシャルを感じています」と期待をにじませました。





次に、『石ノ森萬画館』を運営している『街づくりまんぼう』の苅谷智大さんが登場し、「市民・観光客のみなさんに楽しんでいただけるよう、中心市街地の活性化や、北上川堤防上の広場の活用などを手がけています」と自己紹介しました。苅谷さんの話を受け、本講座のファシリテーター『エイチタス』代表・原亮さんは、「漫画のような文化においても、生産と消費の循環を生み出せる。それが可能なまちが石巻ですね」とコメント。また松村さんは、「石巻は、いろいろなところにカルチャーの担い手がいます。食でも、文化でも、仕事をつくっていけるのが強み」と強調し、指出は「石巻に人が集まるのは、高橋さんや苅谷さんのように、拠(よ)りどころとなる場所をつくり続けているからだと思います」と述べました。


さらに、今年の夏に劇場型複合エンタメ施設『シアターキネマティカ』をオープンさせた矢口龍太さん・阿部拓郎さんや、林業に携わる森優真さんと森づくりの活動を行う森佳代子さん夫妻も登壇。多彩な活動・取り組みに、森夫妻の活動に対して指出は、「森と石巻の文化をつなげる重要な活動ですね」とコメントし、齋藤市長は「矢口さん・阿部さんの取り組みのように、若者が石巻のまちづくりに携わっているのは頼もしいかぎり。また森さんご夫妻の活動は、石巻の森の魅力を伝えてくださってありがたいです」と述べました。





イベント後半は、ブレイクアウト・セッションで登壇者と参加者が小グループで交流を行いました。その後、参加者からは、「関わりしろがあり、移住者のチャレンジを後押しするムードができていると知り、石巻に遊びに行きたいと思いました」「文化を大切にしている土壌と、豊かな人が紡ぎ出すクリエイティブな雰囲気は大きな魅力だなと思いました」といった感想が寄せられました。また登壇者からは、「あらためて、贅沢なまちにいるなあと実感しました」(松村さん)、「石巻ほど移住者が活躍しているまちはないのでは?」(島原さん)、「石巻のみなさんと話すとワクワクが止まらないですね」(指出)といったコメントがありました。イベントタイトルにあるように、石巻で活躍する人々の“多彩な煌(きら)めき”が感じられる2時間となりました。





今回の「結びの一言」は、齋藤市長のコメントより!


本日ご登壇いただいたみなさんは、それぞれにがんばってくださっています。みなさんのような多彩な活動が、もっともっと広がっていってほしいですね。行政としてもしっかりとサポートしていきます。


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text by Makiko Kojima

ソトコト

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