10/14開催「出雲駅伝」展望、充実布陣の青学大が本命!駒大、城西大、創価大、國學院大はどう戦う?

2024年10月12日(土)17時0分 JBpress

(スポーツライター:酒井 政人)


3連覇を目指す駒大は佐藤圭汰が登録外

 10月14日の出雲駅伝で今年度の学生三大駅伝が幕を開ける。出雲は1区8.0km、2区5.8km、3区8.5km、4区6.2km、5区6.4km、6区10.2kmの合計45.1km。全日本や箱根と比べて各区間の距離が短く「スピード駅伝」と呼ばれている。一方で4区と5区は向かい風になることが多い。今年はどんな戦いになるのか。

 前回は駒大が1区篠原倖太朗(4年)で抜け出すと、2区佐藤圭汰(3年)も区間賞。2区終了時で後続に39秒以上の大差をつけて、そのまま独走Vを飾った。しかし、今回はスピードキングの佐藤が登録から外れている。

 チームを引っ張るのは主将の篠原だ。5月の日本選手権10000mは日本人学生歴代5位の27分35秒05で6位入賞。9月28日に行われたYogibo Athletics Challenge Cup 2024の5000mでは屋外の日本人学生最高となる13分15秒70を叩き出している。

 9月30日の日体大長距離競技会5000mでは桑田駿介(1年)が13分39秒47、帰山侑大(3年)が13分46秒33、金谷紘大(4年)が13分47秒40をマーク。出場した13人中9人が自己新とチームの仕上がりは上々だ。

 それに前回3区2位の山川拓馬(3年)、同4区2位の伊藤蒼唯(3年)も控えている。ただ“突破力”があるのは篠原くらい。3連覇のためには“4年生エース”の区間(1区もしくは3区か)でトップに立って、逃げ切りたい。


今大会の本命は青学大

 駒大は佐藤の不在が大きく、本命は箱根王者・青学大になるだろう。9月28日の絆記録挑戦会5000mでは宇田川瞬矢(3年)、鳥井健太(2年)、黒田朝日(3年)が13分37〜39秒台をマーク。他に4人が13分40秒台で走っている。

 1年生の登録はなかったが、エントリー選手は全員がハイレベルだ。なかでも前回2区で駒大・佐藤と区間賞をわけあった黒田と、前回6区(7位)を担った鶴川正也(4年)が充実している。

 黒田は箱根2区で区間賞を獲得すると、5月の関東インカレは2部10000mで27分52秒02の青学大記録を樹立。鶴川は日本選手権5000mで学生トップの4位に食い込み、13分18秒51(日本人学生歴代3位)をマークしている。それから箱根路を3年連続で爆走している太田蒼生(4年)が出雲路に初登場する可能性もある。

 チームが目指すは2度目となる「学生駅伝3冠」。まずは出雲で6年ぶりの優勝を奪って、史上初の快挙に突き進みたい。


前半で主導権を握りたい城西大と創価大

 レース全体を占う意味でもケニア人留学生を擁する城西大と創価大の動向にも注目したい。

 城西大は前回、3区ヴィクター・キムタイ(3年)が区間賞を獲得して2位に浮上。4区で青学大に逆転されるも、最終6区で再逆転して過去最高の2位に入った。

 キムタイと前回1区(9位)を任された10000m27分台の斎藤将也(3年)が今回も主要区間を担うことになるだろう。また関東インカレの1部10000mで28分03秒13の2位に食い込んだ主将・平林樹(4年)は8月に故障があったものの、エントリーに滑り込んだ。

 9月中旬の取材では5000mで13分49秒44を持つ久保出雄太(4年)が「1区」、斎藤が「2区」を希望区間に挙げていた。前回4区2位の林晃耀(4年)は、「4区で区間賞を獲得したい」と話している。

 出雲駅伝の目標は「5位以内」と控えめだが、攻めのオーダーを組むことになれば、前半区間で青学大を脅かす存在になりそうだ。

 創価大は前回、「失格」となったものの、3区の留学生で2番手に浮上して、そのまま2番目にゴールしている。常に城西大の前でレースを進めた。

 チームは「3位以内」を目標に掲げており、榎木和貴監督は前回同様に前半から波に乗りたいと考えている。そのため日本インカレ5000mで独走Vを飾ったスティーブン・ムチーニ(2年)と前回5区で“幻の区間賞”となった吉田響(4年)を前半区間に起用するプランがあるようだ。

 吉田は今季4レースに出場して、すべて自己ベストと絶好調。本人は箱根駅伝で「山の神」を目指しているが、出雲駅伝でも爆走を見せるだろう。


アンカーの逆転Vある國學院大

 V候補の青学大に匹敵する戦力を持つのが國學院大だ。5000mのスピードは劣るが、10000mのタイムは現時点でナンバー1となる。

 チームを引っ張るのは主将・平林清澄(4年)だ。2019年の出雲駅伝で土方英和(現・旭化成)が最終6区で駒大を逆転したシーンに感動して、國學院大を志望。駅伝では1年時から主要区間を担い、エースに成長した。

 2月の大阪マラソンで学生新となる2時間06分18秒で優勝しており、長い距離には滅法強い。出雲は1年時と3年時に6区を担っているが、今回もアンカーを任されれば、優勝ゴールを目指して突っ走るだろう。

 國學院大はスピードが魅力の山本歩夢(4年)と青木瑠郁(3年)、前回1区3位の上原琉翔(3年)、同5区3位の高山豪起(3年)と粒ぞろい。序盤で出遅れなければ、最終6区での“逆転劇”が見られるかもしれない。

 他の有力校では、主将・伊藤大志(4年)、10000m27分台の石塚陽士(4年)、エース山口智規(3年)らを擁す早大が「3位以内」を目指している。また梅崎蓮と石田洸介(ともに4年)を外した東洋大は“新戦力”に注目したい。

 10月14日の島根県出雲市周辺は気温が27度近くまで上昇する予報が出ている。当日の天候もレースに大きく影響するだろう。三大駅伝の初戦を飾るのは果たしてどの大学か。

筆者:酒井 政人

JBpress

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