カルト討論会で大喧嘩勃発!? UPF平和大使 vs. 有田芳生・望月衣塑子、統一教会幹部も緊急発言

2022年10月16日(日)17時0分 tocana


 連日、旧統一教会の問題が報じられているが、大手メディアで報じられないような、より踏み込んだ議論しようと、10月8日に筆者はシンポジウム「THE『カルト』」を開催した。


 登壇者は、ジャーナリストで前参院議員の有田芳生氏、東京新聞の記者の望月衣塑子氏、光寿院住職で旧統一教会関連団体であるUPF(天宙平和連合)平和大使の酒生文弥氏、オカルト編集者・ライターの角由紀子氏、そして、司会は筆者が務めた。


 また、オーディエンスには、「登壇者たちの主張を学びたい」という旧統一教会の幹部の姿もあった。


 シンポジウム序盤、酒生氏はUPFの擁護とメディアへの批判を行った。


「UPFにはアメリカのタカ派の政治家やCIAも来ていました。“世界の宗教の統一”と多くの死者を出したマルクスの共産主義への“反共”という面で意義があると思います」(酒生氏)


「他にも問題視されるべきカルト団体がある。メディアで旧統一教会だけが、儀式や教義の細かい部分まで問題視されるのがおかしい。 例えば、天理教など他の新興宗教でも、全財産お布施している人が大勢いますよ」(同)


 一方、有田氏、望月氏は宗教二世や旧統一教会の家庭の子ども達が抱える問題、霊感商法・高額なお布施の問題について具体例を述べつつ論じたが、酒生氏は「そもそも、安倍元首相銃撃事件は、山上徹也容疑者の犯行ではなく、戦後レジームから脱却しようとした安倍氏が邪魔になったアメリカの陰謀」「日本のメディアは操られていて、嘘ばかり報じる」と“陰謀論”を主張し、互いの話が噛み合わなくなっていった。


 一時は有田氏と酒生氏が激しく言い争い、大喧嘩に発展する場面も。出演者とスタッフが必死に仲介し、なんとかその場は収まり、白熱した議論が続けられた。


——なぜメディアは今まで旧統一教会問題を報道しなかったのか?


「80年代では旧統一教会問題は報じられましたが、オウム事件以降は報じられなくなりました。オウム事件の衝撃が大きすぎたのも一因かと思います。」(有田氏)


「警察が動く刑事事件でないと、メディアは報じにくいんですよね。たとえば『赤報隊事件』のように“疑いがある”だけでは記事にしにくいですし、「赤報隊事件」以降は「また記者が狙われるんじゃないか」とメディアのトップが及び腰になったという話を聞きます。安倍元首相銃撃事件で“蓋が外れた”んでしょう。」(望月氏)


 赤報隊事件とは、1987年から1990年(平成2年)にかけて「赤報隊」を名乗る犯人に、朝日新聞の記者が襲撃されたテロ事件で、 2022年現在に至るまで犯人の特定がされていない未解決事件だ。


 この事件は、靖国参拝、教科書問題、国家秘密法、改憲との関連が指摘されていて、裏で旧統一教会が関わっていたのではないかと疑われている。


 というのも、当時、 朝日新聞社の発行する『朝日ジャーナル』などが旧統一教会の「霊感商法」批判を展開していたことに対し、旧統一教会側から激しい反発があったからだ。旧統一教会は朝日新聞を批判するビラを駅前で大量に配布するなどしていて、朝日新聞社と旧統一教会は実質的に戦争状態だった。


 また、朝日新聞ほどではないにしても、旧統一教会について報道するとクレームが入り、仕事にならないと角氏は指摘した。


「そもそも、安倍元首相の銃撃事件までは、カルト系の問題を報じてもあまり読まれなかったのですが、旧統一教会に関する記事を配信すると、たとえ批判的内容でなくても、すぐに旧統一教会から電話がかかってくるんです。中には1〜2時間もの長電話もありました。」(角氏)


——旧統一教会の記者会見の感想は?



 


「(記者会見をした改革本部長の)勅使河原さんがどこまで旧統一教会の実態を知っているかが甚だ疑問でした。献金が収入の3割以上になる場合は記録する、信者のアンケートをとる等の改革案を示しましたが、『なぜ信者たちが霊感商法をしなければならなかったか』『なぜ改革すべきか』が言及されていなく、『木を見せて森を見せてない』ような印象を受けました。」(有田氏)


「旧統一教会の会見で勅使河原さんが『先祖解怨(先祖の祟り)の教えはない』と言っていましたが、実際に報告されています。勅使河原さんがわかっていないのか、なんとか宗教法人を解散させないために、そのように話しているのかわかりませんが。また、『いくら韓国に送金しているか』という質問にも回答していませんでした。」(望月氏)


 両氏は勅使河原氏が「旧統一教会の実態を充分に知らない」という点で見解が一致した。日本の幹部らが実態を知らないということは、韓国本部の“操り人形”にされているのだろうか?


 また、望月氏は特に“宗教二世”の被害を問題視した。


「5回目の勅使河原さんの会見で報道されましたが、川崎市の宮崎台教会が高校生以上の宗教二世にアンケート調査を行ったところ、約6割の宗教二世が一般家庭と比べて貧しい生活を送っている、と感じているそうです。恋愛禁止で好きな人に好きと言えず、悩んで自殺する子もいます。山上容疑者のように苦しんでいる、宗教二世の問題と向きあう必要があります。」(望月氏)


 親には「信仰の自由」でも、子どもに信仰を強制できるかは全く別問題だ。これについて、角氏も「宗教二世の小川さゆりさん(仮名)の記者会見を『精神を病んでいるから嘘をつく』と妨害するのは非常識」と指摘した。


——旧統一教会が自民党新憲法草案に影響を与えたと報じられているが、実際は?


「自民党の憲法改正草案と旧統一教会の思想は同じ方向を向いていますが、旧統一教会が影響を与えたというのは過大評価かと思います。旧統一教会問題は過小評価もしてはなりませんが、過大評価をすると、逆に旧統一教会の信者たちが『自分たちがこれだけ大きな組織に入っている』と思ってしまうのです。」(有田氏)


「旧統一教会が“個人”より“家庭”を重視することから『こども庁』が『こども家庭庁』になったり、LGBT増進法案や選択的夫婦別姓法案推進も妨害されてきました。“勝共”なんて言葉、今はもう時代にあったものでなく、政治家に使って欲しくない。それより個々の人権を大事にした、多様性のある社会構築をすべきではないでしょうか。」(望月氏)


——旧統一教会問題の解決や、今後オウムのようなカルト宗教が台頭しない為にはどうすればよいか?



「山上容疑者のような宗教二世の家庭での被害は氷山の一角です。民事でも刑事でも沢山の問題を抱えている宗教団体を宗教法人として認めるかは考えなければならないでしょう。 ただし、信仰の自由があるので宗教法人格なくしても、教義はあるので、団体はなくならないかと思います。たとえば、山上容疑者のお母さんは事件後も旧統一教会から脱会していませんよね。逆に現実世界に戻ったら、もしかしたら、自責の念から自殺してしまいかねませんので、難しい問題です。」(有田氏)


「旧統一教会問題が何が問題なのか、しっかり基準を作るべきです。たとえば、お布施の上限規制をもうけること。それから、宗教法人法の適用を厳しくし、“公益性を保っているか”を一つの基準にするのは一案かと思います。また、宗教法人を監査する役員の人数も足りていなく業務が追い付かないとのことです」(望月氏)


「韓国本部で文鮮明の一周忌イベント含め、何度か統一教会に取材に行きましたが、 施設にいた信者の数も減っていて、設備も粗末になり、お歳暮も減っています。既に弱体化していますが、旧統一教会に限らず、更にカルト宗教が政治に及ぼす影響力を弱めるには投票率を増やすことじゃないでしょうか。また、旧統一教会もCIAの洗脳プログラムを取り入れているといわれていますが、信者獲得に“洗脳”する宗教団体は宗教法人格を外せば良いのでは?」(角氏)


「人間の無知や恐怖心につけこむことこそカルト最大の問題点ですが、伝統宗教はしません。日本には仏教と神道があります。アメリカの愚民化政策により日本人の精神性が廃れてしまいましたが、伝統の精神文化に立ち返って、ヤマト民族として誇りある精神を復興するべき機会ではないでしょうか。(旧統一教会の教義にもある)『悪魔』という考え方は、二元論・二項対立ですが、多元論の多神教、神道と一元論の宇宙、仏教、が連なって包摂している日本の精神は素晴らしいと思います。」(酒生氏)


 シンポジウムの一連の議論を聴いた旧統一教会幹部のX氏は、「団体の改革に参考にさせて頂きます。統一教会の二世問題も向き合っていきます。ただ、信者の子どもの教育が他の子どもと違う、というのは、例えば『イスラム教の子どもは豚を食べれない』というのと同じで、“多様性”を重視するなら、受け入れても良いのではないでしょうか」と意見を述べた。


 また、小川さゆり氏(仮名)の記者会見を旧統一教会が妨害した件については、「移動中に知ってビックリした。あれは可哀想だと思うし、誰が意思決定したのか調べている」と話した。


 記者会見した勅使河原氏も“霊感商法”や“先祖解怨”の被害を把握してなかった。有田氏も主張していたが、もしかしたら、彼らは“特別扱い”を受けていて、旧統一教会の一部しか見ていないのかもしれない。


 そして、「アダム国家=韓国」「エバ国家=日本」の教義の陰陽思想の教義も要因して、彼らは一部の情報しか知らされていない可能性もあるだろう。やはり、韓国本部の責任は重大だと考えざるを得ない。

tocana

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