銚子電鉄、衝撃のコラボ成立に王手 夢グループを口説き落とした「おにぎり話法」と「デーの女神」とは【エピソード3:灼熱の護国寺編】

2023年10月18日(水)21時0分 Jタウンネット

前のエピソードはこちらから→【エピソード1:極寒の網走編】、【エピソード2:夢のレール編】

2023年、夏——。院長の顔写真看板でおなじみ「きぬた歯科」とのコラボ広告を成功させた銚子電鉄は、次なる野望に燃えていた。

それは、通販会社「夢グループ」とコラボし、通販番組風の宣伝動画を作ることだ。

その企みは、9月20日に公開されたYouTube動画を見ていただければわかる通り、成功した。

そして、そこにたどり着くまでの道は、動画と同じくらいユニークなものだったらしい。

銚子電鉄・食品事業部の担当課長A氏がJタウンネットだけに明かした、「夢グループ」との初対面の日のことを、皆さんにもご紹介する。

切ない現実で同情をひけ!

A氏が東京・護国寺にある夢グループ本社を訪れたのは、気温が35度もあった、灼熱の2023年8月3日。

待っていたのは、ビシッとしたスーツに身を包んだ夢グループの広報部長。対するA氏はポロシャツ(一応襟付き!)・チノパン・スニーカーで、「完全にゴルフ帰りによくいるオッサンである」(本人談)。

しかし、広報部長は嫌な顔ひとつせず、「遠路はるばるわざわざお越しくださりありがとうございます」とねぎらいの言葉をかけてくれたそうだ。

さて、さっそくコラボについて打診したいところだが、お笑いでも商談でも、「掴み」が弱くちゃ話にならない。世間話なんかしている場合じゃないのである。

そこでA氏は開口一番、語りだした。

「えー、銚子電鉄は万年赤字のローカル鉄道です。お金はありません。電車に乗ってもいい景色もありません。電車を運行するため、ぬれ煎餅を焼いて売っています。
夢グループさんと、今時点では何かわかりませんが、何か面白いことをしたいと思い来ました。もし協力いただいてもお金は無いので何か他の形でお返しするしかないのですが、それでも良ければお話を聞いていただけないでしょうか?」

銚子電鉄の切ない現実を説明し、同情を引こうとしたのだ。

A氏はこれを、天才画家・山下清氏をモデルにしたドラマ『裸の大将放浪記』でたびたび登場する"幼少期に両親が他界したとウソをつくことで同情を引き、おにぎりをゲットするというワザ"になぞらえて「おにぎり話法」と名付けて使っているという。

そしてこの話法は、夢グループの広報部長に——通用したらしい。

降臨した「デーの女神」と広報部長のツボ

広報部長はA氏の話を熱心に聞いたあと、今度は夢グループについて説明し始めた。こんなことを言っていたという。

「ご承知かもしれませんが夢グループは"少し面白い日本語" (ホントにそう言った!)を話す社長の石田と、専属の歌手の保科が掛け合いながら商品の説明をする通販部門とコンサートを行う芸能部門、この二つが大きな柱です。特に通販では社長の石田がアルファベットのDを『デー』と発音しまして、従いましてCDは『シーデー』、DVDは『デーブイデー』となります。これを意外と世間の方が面白がってくれているようですが、昔から石田をよく知る我々からしたら、Dはデーであり、CDはシーデー、DVDはデーブイデーであります。ですから、なんで面白がられているのか我々も最初は実はさっぱりわからなかったんですが、まあ、世間の方に喜んでもらえているなら良いのかなと思っています」

「かなり初期から夢グループの公用語がDはデーであったとは!」と感心したA氏のもとに、「デーの女神(?)」が降臨した。彼の口から、こんな言葉が滑り出る。

「銚子電鉄の略称は『CDK』(Choshi Denkitetsudo Kabushikikaisya)、"シーデーケー"といいます。もし社長に銚子電鉄の紹介動画を作ってもらい、『シーデーケー』と発していただけたなら、世間の方々に喜んでもらえるのではないでしょうか?」

A氏のこの思い付きを、広報部長は大いに気に入り、「早速石田に話してみます」。後日、石田社長からも了承を得た。

かくして銚子電鉄と夢グループのコラボは、なんだかかなりすんなり決まったのであった。

エピソード4へ続く・・・・・

Jタウンネット

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