育休延長を目的とした保育所申込み、厚労省が対応案を検討

2018年10月23日(火)15時15分 リセマム

内閣府:地方分権改革

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保育園利用希望者に対して入所できなかった場合に育児休業の延長が可能か否かを表示させ、育児休業延長を目的とした保育所への申込みを抑制し、保育ニーズの高い人を優先的に扱うよう厚生労働省が検討していることが、2018年10月22日の専門部会配布資料からわかった。

 内閣府は地方分権改革として、地方公共団体からの提案を受け付けている。平成30年(2018年)の提案募集において、大阪市や京都市、兵庫県などが「育児休業などの期間延長にかかる要件緩和」の提案を厚生労働省に対して行った。

 現在、育児休業の取得および育児休業給付金の受給の期間は、原則として児童が1歳になるまで。保育所に空きがなく入園できない場合などは最長2歳まで延長できるが、雇用主やハローワークに確認書類として「入所保留通知書」を提出する必要がある。しかし、当面復職の意思がなく育児休業の延長を希望する保護者が、入所保留通知の取得を目的として入所申込みをする例が多数生じているという。

 自治体は、意図的に入所枠の空きのない保育所のみを希望することで、容易に保留通知を入手できるため、事実上無条件で育児休業などの延長が認められているのが現状と指摘。保留通知の取得を目的とした入所申込みにより、保護者と自治体に不要な事務的負担が生じていること、保育ニーズや保留児童数の正確な把握が困難であることに加え、特に内定辞退がなされた場合は、本来入所できたはずの児童が入所できないなどのケースが生じていることから、入所保留通知書の提出がなくても育児休業などの延長が可能になるように制度を改正することを要望した。

 厚生労働省では入所保留通知書の提出について、「給付の受給要件を満たすか否かの確認を行ううえで必要と認識しており、提出を不要とすることは困難」と回答している。一方、保育所などの利用調整にあたり、入園希望者が申し込んだ保育所などに入れなかった場合に育児休業の延長が可能か否かをあらかじめ表示させるなどの方法で、保育ニーズの高い人を優先的に扱うことなどを提案。具体的な手法については今後検討するとしたが、運用上の工夫により公平な利用調整を実現し、過剰な事務負担の軽減を図ることもできるとの考えを示した。

 そのほか、雇用の継続のために特に必要と認められる場合に、法律上の育児休業として延長することができる(そうでない場合には延長できない)旨をリーフレットなどで周知徹底するという。さらに、明らかに制度趣旨とは異なる育児休業・給付の延長の申し出については、適切に対処する考え。第一次申込みをした保育所などに当選したのに辞退し、第二次申込みで落選した場合には、保留決定通知書の備考欄にその旨を付記する。延長申請時に当該記載を確認することで、制度趣旨に則った育児休業・給付の延長にあたるのかを適切に審査することができると提案した。

 地方分権改革有識者会議と提案募集検討専門部会は今後、2018年11月中下旬に対応方針案了承の会議を開催し、12月中下旬には地方分権改革推進本部、閣議にて対応方針決定する予定。平成30年(2018年)地方分権改革に関する提案募集の提案事項は、内閣府Webサイトの地方分権改革有識者会議開催状況「第85回 提案募集検討専門部会 議事次第」にて公開されている。

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