タウレッド、ネグシ・ハベシ…“異世界”から来た2人の訪日客の実話! 10カ国語を操り、忽然と失踪
2022年11月24日(木)17時0分 tocana
日本に入国しようとしたまったく身元がわからない外国人が2人いたことが記録に残されている。そのうちの1人は一晩経って忽然と消えてしまったという——。
■地球上に存在しない国から来た謎の男
「どこの馬の骨ともわからないやつ」という言い回しはあるにせよ、誰にも親がいてそれぞれの出自があるはずだ。しかし残された記録の中には、不思議なことにまったく身元が分からない人物も時折登場している。その多くは当人の記憶障害などに起因すると考えられているが、中にはまるで異世界からこの世に紛れ込んできたかのようなケースもあるのだ。
1954年7月、羽田空港に到着した香港からの国際線の乗客に、あごひげを生やした白人男性の姿があった。主にフランス語を話していたといわれているが、日本語をはじめ10カ国語ほどの言語を使い分けることができたとも報告されている。
入国審査官はその男性が差し出した見慣れないパスポートを詳しくチェックせざるを得なかった。パスポートの発行国は「タウレッド(Taured)」という国で、国名リストのどこを探しても存在しない国家であったのだ。
当然ながら入国は保留され、ひとまず男性は別室へと連れて行かれた。
男性はタウレッドはフランスとスペインの間に位置し、すでに1000年間存在している歴史のある国であると説明した。
係官は男性に世界地図を見せてその場所にはアンドラ公国があると指摘したが、男性はそんな国は知らないと言い張り、そこはタウレッドなのだと強弁するのみだった。しかしそんな主張を出入国管理局が認めるわけにはいかない。
最終的に男性は何らかの犯罪に関わっている可能性があると疑われ、警官に拘束されることになった。本格的な調査にも準備が必要であったため、警察は男性を近くの民間のホテルに一晩泊めることにした。男性が逃げないように、ホテルの部屋のドアの前に2人の警備員が配置された。
しかし翌朝、警官が男性の部屋に行ったとき、彼の姿がどこにもないことに気づいて愕然とした。男性がどのように逃亡したかを示す痕跡は何もなく、男性の所持品もきれいさっぱりになくなっていたのだった。
この男性はどこに消えたというのだろうか。この物語をタイムトラベルの証拠として説明する人もいれば、パラレルワールドに関連づける人々もいるようだ。
■日本で逮捕された“ミステリー・マン”
この世に存在しない国のパスポートでまんまと日本に入国した外国人がもう1人記録に残されている。
1959年10月24日、韓国人の妻を伴って偽造パスポートで日本への入国を果たしたジョン・アレン・K・ジーグラスと名乗る男がいた。14カ国語を操るその男が持っていた偽造パスポートは週刊誌サイズの大きなもので、当時の読売新聞の報道によれば発行国は「ネグシ・ハベシ・グールール・エスプリ」(トゥアルド州タマンロセットという説もある)というこの世に存在しない国家であった。
この偽造パスポートで入国できてしまったのは、台北の日本大使館がビザをこのパスポートに対して発行しており、日本公館のスタンプが押されていたからだといわれている。また日本に来る前にはこのパスポートで中東の国々に滞在していたことを物語るスタンプもあった。
日本に滞在中、ジーグラスはチェース・マンハッタン銀行東京支店などで偽造小切手を使用した容疑で告訴され、1960年1月に丸の内警察署により詐欺罪の容疑で逮捕された。その後に不法入国の罪にも問われることになる。
国籍も身元もまったく不明のまま、東京地裁で異例の裁判が行われたのだが、懲役1年の刑が言い渡されたところでジーグラスは立ち上がり叫びながら口の中に隠していたガラスの破片で両腕の血管を切り自殺を図った。すぐに3人がかりで取り押さえられて自殺は未遂に終わり、全治10日ほどの負傷で済んだのだった。
控訴審も行われたのだがジーグラスはすでに1年以上拘置されていたため懲役1年の判決を受けても服役の必要がなく、国外退去処分となって香港に送還されたということだ。
この一件は英語圏のメディアでも取り上げられ、ジーグラスを“ミステリー・マン”と報じたのだった。
その後のジーグラスの足取りは知られていないのだが、地球上で文化的な生活を送るとすれば再び偽造パスポートなどで身元を偽装する必要があったはずだ。あるいはそもそもの出自である異なる時空やパラレルワールドへと帰っていったのだろうか。インバウンド再開でこの先同様のケースが起きないとも限らない!?
参考:「Ancient Origins」、「Wikipedia」ほか