ラーメン官僚が推す超大型新店『中華そば ふるいち』の“クセになる”「中華そば」の魅力とは?

2020年12月1日(火)10時50分 食楽web


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 東京都郊外の多摩エリアの西部に位置する羽村市。羽村市は、知名度が比較的高い(独断と偏見?)青梅市・福生市・あきる野市に囲まれた、都内の「市」の中では最も人口が少ない自治体。

 ですが、その割にラーメン専門店が充実し、かつ、クオリティが高い1杯を出す店舗が複数存在することで、少なくともラーメン好きからは熱視線が注がれているエリアです。

 2020年10月4日、そんな羽村市に、1軒の新店が誕生しました。そのお店の名は『中華そばふるいち』。店主は古屋倫太郎氏。同氏は、生まれも育ちも羽村市。


ロケーションは、JR青梅線・羽村駅の東口を出て300m程度の市役所通り沿い。駅からゆっくりと歩みを進めても、3、4分でアクセスできる距離です。シルバーの格子模様を強調したシックな外観には無駄な遊びがなく、作り手のセンスの高さが伝わってきます

 白地に黒文字で『中華そばふるいち』の看板。看板の視認性は抜群なので、見過ごすことは、まずなさそうです。

 店舗は、コロナ禍により閉店した長浜豚骨ラーメン専門店『ラーメン五ノ神』の跡地。ちなみに同店は、羽村市のラーメン店の中でも人気があった店のひとつ。古屋店主もお気に入りとして足繁く訪問していたそうで、今般、同氏がこの場所での独立開業を決断したのは、『ラーメン五ノ神』に強い思い入れがあったことが大きな理由だったそうです。

 さて、古屋店主は、国分寺を拠点に、都内各地、大阪、海外(韓国のソウル、ベトナムのホーチミン)等に店舗を構える、多摩エリアのビッグネーム『ムタヒロ』のご出身。古屋氏は本店、二号店など、ムタヒログループの要となる店舗の店長を歴任してきたベテラン。『ムタヒロ』ファンの間では大変有名な作り手です。

 そんな方が、故郷に錦を飾る形で満を持して開業した『ふるいち』。話題とならないはずがなく、予想どおり、オープンから数日間は、修業元での八面六臂の活躍を知るマニアを中心に、店前に長蛇の列が連なったとのこと。

 個人的には、豊富な経験を武器に、開業間もない現段階でどこまで自分の「色」を出した1杯を出してくるのか。そのあたりの状況を確認したいと思い、ご挨拶も兼ねて店に足を運んできました。

∞(無限大)の可能性を感じさせる珠玉の「中華そば」


営業時間は、平日及び土曜が昼夜営業。定休日は月曜。あいにく日曜の営業は昼のみですが、土曜夜営業がある。特に社会人にとっては有難い限りですね

 現在、『ふるいち』が提供するレギュラー麺メニューは「中華そば」、「塩中華そば」、「つけそば」、「塩つけそば」、「油そば」の計5種類。汁そば・つけ麺・汁なしの王道3品をしっかりと揃え、食べ手の様々なニーズに応えようとする姿勢には、素直に好感が持てます。


「中華そば」750円

 基本中の基本というべき一品は「中華そば」。入店してすぐ左手にある券売機の配列を見ても「中華そば」のボタンは一列目。筆頭メニューとして位置付けられている一品です。

 古屋店主曰く「どこか突き抜けたところがある、癖になる味わい」を目指した「中華そば」のスープは、鶏ガラ・豚ゲンコツ・煮干し・鯖節・鰹節といった馴染みの素材に加え、牛骨から出汁を採ることで、華やかな香りと芳醇なうま味を演出。

 煮干しは、上質な出汁が採れる「伊吹いりこ」のほか、数種類をバランス良くブレンド。プラスαのひと工夫を凝らすことで、圧倒的な出汁感を持たせることに成功しています。

「地域柄、最初は食べ手を選ばないオーソドックスな中華そばを提供しようと考えていましたが、一方で、修業先で学んだノウハウも活かしていきたい。色々と試行錯誤を繰り返した結果、正統派のように見えて、個性に根差した引きの強さも合わせ持つ『良いところどり』のラーメンを作ろうと思い立ったわけです」。

 そんな「正統を守りながら攻める」姿勢は、トッピングにも如実に表れています。

 箸で持ち上げた刹那、香ばしい香りが鼻腔を心地良くくすぐるチャーシューは、国産豚を吊るし焼きにしたもの。

 飲み進めるにつれて、動物系のどっしりとしたコクに支えられながら、いりこのうま味がトルネードのように口内で渦巻き始めるスープ。スープ温の低下や味覚の慣れによって、感じ取れる味わいが刻々と変化する仕様も、もちろん、店主の計算の範疇に入っていることでしょう。

 このスープに合わせているのが、プルンとした麺肌が唇に優しい『新宿だるま製麺』謹製の縮れ平打ち中太麺。含まれる水分量がやや多く、ちょっとした野暮ったさを感じさせる麺ですが、この麺を用いることで、1杯の印象がほど良く肩の力が抜けたものとなっています。

 ワンポイントとして映える「の」の字が描かれたナルトも、クラシック感の演出にひと役買っています。


不規則な形の麺にスープが絶妙に絡む

「作ってみたいラーメンは他にも色々ありますが、まずは、このラーメンを地元から支持される羽村の名物にしていきたいですね。次の展開は、それが実現した後に考えることにします」と言って笑う、店主。

 事前の想像以上に古屋店主の「色」が出ていた1杯に、∞(無限大)の可能性を感じました。10年先、いや、20年先までチェックしていきたい1軒です。

店主(古屋氏)プロフィール

・『ムタヒロ』の牟田代表(ムタ氏)や新井氏(ヒロ氏)を、同グループの中心メンバーのひとりとして支えてきた、若手ラーメン職人の有望株。
・『中華そばムタヒロ1号店』、『鶏そばムタヒロ2号店』、『拝島駅店』の店長等を経て今般、満を持して店主の地元・羽村市に凱旋・独立。
・修業先で培ったノウハウを正統派のラーメンへと落とし込んだ「ネオクラシック中華そば」の完成を目指し、オープン後の今もなお試行錯誤の最中。
・店主の日々の取組の様子が克明につづられた、店舗ツイッターも要チェックだ。

●SHOP INFO

店名:中華そば ふるいち

住:東京都羽村市五ノ神4-6-9 東洋第5ビル1F
TEL:042-533-5203
営:11:30〜15:00、18:00〜23:00、日曜11:30〜15:00(※新型コロナの影響により営業時間に変動あり)
休:月曜

●著者プロフィール

田中一明
「フリークを超越した「超・ラーメンフリーク」として、自他ともに認める存在。ラーメンの探求をライフワークとし、新店の開拓、知られざる良店の発掘から、地元に根付いた実力店の紹介に至るまで、ラーメンの魅力を、多面的な角度から紹介。「アウトプットは、着実なインプットの土台があってこそ説得力を持つ」という信条から、年間700杯を超えるラーメンを、エリアを問わず実食。47都道府県のラーメン店を制覇し、現在は各市町村に根付く優良店を精力的に発掘中。

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