“10万年間立入禁止”の核廃棄物最終処理場、間もなく隔離期間が始まる
2024年12月5日(木)11時30分 tocana
フィンランドの使用済み核燃料地下処分場「オンカロ」に予定されている核廃棄物の搬入が完了し、近く封鎖されようとしている。いったん封印されると人類は10万年間、ここに立ち入ることはできない——。
■10万年間立入禁止の核廃棄物最終処理場
核廃棄物を貯蔵するために設計されたフィンランドにある世界初の地下処分場「オンカロ(Onkalo)」が間もなく封鎖されようとしており、10万年続く前例のない隔離期間が始まる。
オンカロは、オルキルオト原子力発電所に近いフィンランド南西部にある地下施設で、2025年からは人間が立ち入ることができなくなる。
オンカロはフィンランドの核廃棄物管理団体「ポシバ」によって開発され、地下450メートルの固い岩盤を掘削した複雑なトンネルネットワークで構成されている。
この施設の主な目的は使用済み核燃料を安全に保管することであり、使用済み核燃料は特別に設計された気密容器に入れられる。これらのコンテナは、地上にあるカプセル化プラントから地下のサービスエリアまで専用のエレベーターシステムで輸送され、そこからロボット車両がコンテナを垂直の廃棄穴内の最終保管場所に運搬するのだ。
使用済み核燃料の搬入は最終段階を迎えており、来年には完了して封鎖される予定だ。その後は10万年先まで立入禁止となる。
10万年という期間は我々には想像し難いスケールの年月である。立入禁止が解除される頃には、約4000世代先の子孫がこの施設を見物できることになる。
ちなみに10万年前の地球は氷河期で、現代人(ホモ・サピエンス)がアフリカを出て世界各地に拡がり、今は絶滅したマンモスがまだ地表を歩き回っていた。氷河期が約10万年の周期で繰り返しているともいわれ、10万年先の地球は厳寒の地になっているかもしれない。
国際社会は核廃棄物貯蔵に対するフィンランドのアプローチを賞賛している。オンカロは放射性物質の安全な封じ込めを確保するために自然および人工の障壁を組み込んだ構造で、原子力エネルギーの持続可能な管理における大きな進歩を体現している。
この複合施設には、トンネルと部屋の洗練されたシステムがあり、固い岩盤層の中に保管エリアが戦略的に配置されている。施設の設計では、長期にわたる保管期間を通じて完全性を維持するために、いくつかの地質学的および環境的要因が考慮されているのだ。
来年に封印されるとこの施設はフィンランドの地下で静かにその使命を続け、将来の世代にとって安全になるまで放射性物質を保管することになる。日本はもちろん各国で問題となっている使用済み核燃料の最終処分だが、このオンカロが人類にとって良き前例となってくれることに期待したい。
参考:「Misterios do Mundo」ほか