M-1決勝進出 錦鯉・長谷川雅紀が「他人の目を意識しない」本当の理由(インタビュー)

2021年12月17日(金)18時0分 tocana


 昨年『M-1グランプリ2020』で決勝に進み、「史上最年長ファイナリスト」として話題になったお笑いコンビ・錦鯉。彼らは、今年の『M-1グランプリ 2021』でも2年連続ファイナリストとなり、19日(日)の決勝戦を目前に控えている。


 そんな彼らが11月17日に初めての著書『くすぶり中年の逆襲』(新潮社)を出版した。2人の生い立ちや芸人としての歩みを振り返る内容になっている。現在50歳の長谷川雅紀と43歳の渡辺隆は、これからどのようにお笑い界を生き抜いていこうとしているのか? 全4回にわたるインタビューをお届けする。


■自分の年表を書いてみたいと思った


——この本を出すきっかけは?


長谷川雅紀(以下、長谷川)  「本を出しませんか?」というオファーを新潮社さんから今回いただきまして。あと、昨年の『M-1グランプリ』で決勝進出が決まったときの記者会見で、僕が「『人生大逆転』っていう本を出したいです」って言ってたんですよね。だから、それもきっかけになったかもしれないです。


渡辺隆(以下、渡辺)  ボケで言った感じなのにね。


長谷川  ボケじゃないよ。本当に出したいと思ってたんで。


——なんで本を出したかったんですか?


長谷川  うーん、なんででしょうね? やっぱり芸人を始めたときに、自分の本やDVDを出したいって思っていて。書店とかに並んでいるのを見たかったんです。


——本が好きなんですか?


長谷川  いや、本はそこまで好きではないです。


渡辺  今まで読んだ本は何冊だっけ?


長谷川  5冊ぐらいなんですけど。でも、本を出したかったのは本当なんです。そういうのなんて言うんでしたっけ? 「自意識過剰」じゃなくて……「自分をアピールしたい」みたいな言葉があるじゃないですか。


——「自己顕示欲」ですか?


長谷川  そう、それ! 自己顕示欲が強いのかな。


渡辺  「正解!」じゃねえんだよ。


長谷川  自分の年表を書いてみたいと思ったんですよ。何年にどんなことがあった、とか。年表を書きたいっていう思いが本を出したいにつながりました。


——では、夢が叶ったんですね。


長谷川  でも、まだ実際に書店で本があるところを見れていないんですよ。早く行きたいとは思っているんですけど。


——忙しくてなかなか行けないんですか?


長谷川  そう、なかなか行けなくて、さらに腰を痛めちゃって、本屋にも行けなくなっちゃって。ハッハッハ!


渡辺  笑いごとじゃねえんだよ。(苦笑)


——この本はお2人の対談形式になっていますが、どうしてこの形にすることになったんですか?


渡辺  出版社さんからの提案ですね。こっちも「あ、それいいと思います」って。結果として読みやすいからこの形式で良かったと思います。雅紀さんでも読めたので、たぶん老若男女問わず読めるつくりなんです。会話だったら読める、みたいなのあるでしょ?


長谷川  別に会話じゃなくても読めるよ。


渡辺  読めるの? 情景描写とか読めないでしょ?


長谷川  そういうのはちょっと苦手ですね。木漏れ日がどうとか。


——内容はお2人の自叙伝なので、真面目な書き方になってもおかしくないんですが、この本ではボケとツッコミみたいなのも入っていて面白く読めますね。


渡辺  重たい話も軽く聞けるみたいなところはありますよね。一番いい書き方ができたかなと思っています。


——コンビの間でも生い立ちとかの細かい話って普段そんなにしないんじゃないですか?


渡辺  僕はほぼしてないですけど、雅紀さんは聞いてないのにしゃべってくるんですよ。


長谷川  そうですね、隆のそういう話ってあまり聞けないから良かったです。



■渡辺は長谷川の“お母さん”!?


——この本を出すにあたって、雅紀さんは改めてご自分の人生を振り返ることになったと思うんですが、いかがでしたか?


長谷川  いやもう、めちゃくちゃ嬉しかったですけど、僕は何でも言っちゃうんで、本になってから「あれ、これって言っても大丈夫だったのかな?」と思う部分はありましたね。たとえば、家族もこれを買って読んでるわけですよ。弟とか姉からも「買ったよ!」って連絡が来たんです。本の中では家族のことも話しているので「うわ、これ見られてるんだ。大丈夫かな?」と思いましたね。


渡辺  手鏡で自分の肛門を覗いているところを弟に見られた話とか?


長谷川  あと、僕がおかしいじゃないかと思われて家族会議が開かれた話とか、そういうのも全部書かれてるんで。


——自分が滞納した携帯電話代を払うために弟のパソコンを勝手に質屋に持っていった話とか。


長谷川  そうそう! そのときは焦ってそういう行動に出ましたけど、時間が経って冷静になって考えたら、ひどい話だな、って。


——自分でも思います?


長谷川  思います! だけど、その時はパニックで、何とかしなきゃって思って、そうなっちゃったんですよね。


——精神科医の本に載っていたチェックシートとご自身の行動と照らし合わせてみたら、全部当てはまっていたんですよね?


長谷川  そうそう、人の目を気にしないとか、寝癖のまま外に出るとか、服装を気にしないとか、そういうのが当てはまっていて。


渡辺  「気にしない」が多いな。今も人からもらった服ばっかり着てるもんな。


長谷川  事務所がSMA(Sony Music Artists)なので、フェスとかアイドルイベントのTシャツを頂けたりするんですよ。それでピンク色の3Lぐらいの大きなTシャツがあったんですけど、サイズを見ないで普通に着てたんですよね。


渡辺  絶対大人が着ないようなピンクのでっかいTシャツを着てハゲた人が歩いてきたので、その時は「本当にやめてくれ」と言いました。(笑)


——雅紀さんは他人にどう見られるかがあんまり気にならないんですか?


長谷川  そうなんです。


渡辺  いま舞台に出るときは銀色の靴を履いているんですけど、プライベートでも普通に履いてましたからね。


——でも、芸人というのは人前に立つ仕事だから、どう見られるか気をつけなきゃいけないっていうのはあるんじゃないんですか?


渡辺  一応言ったりはしているんですけど、何を気をつけていいかわからないんですよね、雅紀さんは。


長谷川  最近は「普段から見られている」みたいなことを言われるんで、道を歩きながら鼻をほじるのはやめようとか思うようになりました。


——渡辺さんは雅紀さんに対して、身だしなみについて注意したりもするそうですね。


渡辺  爪も言わなきゃすごい伸びてますからね。「爪切れ」とか「鼻かめ」とか「毎日洗濯しろ」とか、よく怒ってましたね。


——お母さんみたいな。(笑)


渡辺  お母さんの気持ちがわかりましたよ。(笑)


長谷川  こうやって言ってくれる人が今までいなかったんですよ。僕は北海道出身なので、隆のことは「東京のお母さん」って呼んでるんですけど。最初は口うるさくて嫌だなと思ったんですけど、言ってくれる方がいいのかなって途中で思いました。


渡辺  何もやらないですからね。



——渡辺さんは初めから雅紀さんのそういうとぼけたキャラクターが好きだったというか、そこに信頼を寄せていたそうですね。


渡辺  そうですね。言ったことで合ってたことが1回もないんで。そこは信頼してますね。


——雅紀さんは自分からいろいろ話すのが好きなんですよね。


渡辺  おしゃべりですね。ずっと喋ってますからね。僕が話した内容を、忘れていて僕にしてきたこともあります。


——結構いろいろ忘れてしまうみたいですね。


渡辺  忘れちゃいますね。大事なとこはだいたい覚えてない。


長谷川  わざとじゃないんですけどね。後輩と話していて「バイト何やってんだっけ?」って聞いたら、「それ、聞かれたの5回目ですよ!」って言われたこともあります。それは申し訳ないですね。「話聞いてないでしょ?」とか言われて、聞いてるんですけど、ただ忘れているんです。


渡辺  でも、それはわかる。後輩のバイトなんていちいち覚えてられないし。


〜つづく〜


※「ずっとダラダラしていた」2人がなぜブレイク? 知られざる経緯が明かされるインタビュー第2回(18日18時に公開予定)はコチラ!

tocana

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