感動的“なりすまし”事例「祖母を悲しませないため」ニセの母親を13年雇い続けた孫

2024年12月21日(土)23時0分 tocana

 今、中国では“レンタル彼女”を斡旋するビジネスが数年ぶりに流行をみせていると聞く。一人っ子政策のせいで男女比率が歪み(男性の方が多くなり)、彼女のできない男性が正月などで地方に帰る時、彼女のふりをしてくれる女性を雇うのだという。


 しかし今回のストーリーは、そのような短期の「レンタル彼女」ではなく、10年以上にわたる感動的「なりすましの娘」についてである。


■13年間も雇われた電話越しの“娘”

「私のおばあちゃんは30歳で未亡人になり、一人でお母さんを育てました」と中国陝西省咸陽市に住むチェン・ジンさん(46歳)はチャイナ・デイリー紙に語る。そして祖母のフユさんと、その娘である(ジンさんの母)のコンロンさんは、本当に仲の良い母娘だったという。


 しかし、不幸なことに、ある日コンロンさんの肺に癌があることが判明した。コンロンさんはそのことを年老いて弱った母には知らせず、自分が死んだ後のことを考え、母親に向けた数十の音声メッセージを録音し始めた。


 コンロンさんは100歳近い母を思いやり、電話メッセージの内容も季節に合わせ、寒さについて話したり母に薬を飲むようにアドバイスしたりするなど、細かく気遣ったという。


 そしてコンロンさんは、娘のジンさんたちにそのメッセージを電話で再生して祖母のフユさんに聞かせるよう託し、69歳の時にこの世を去った。


 コンロンさんの死後、遺言通り家族は祖母のフユさんに電話メッセージを聞かせ続けた。しかし、電話メッセージの数にも限りがあり、ずっと同じメッセージを送る訳にもいかなくなり、家族はコンロンさんとやや声が似ているチェン・ウェイピンさんを“ニセの娘”として雇うことに決めた。


 ジンさんは初めてチェンさんが娘になりすまし、フユさんに電話した時のことをこう話す。


「初めの時、おばあちゃんはチェンさんにあなた誰? と尋ねました。チェンさんが娘だと言っても、おばあちゃんは信じなかったのです」(ジンさん)


 ジンさんは声が違って聞こえるのは風邪のせいだと説明し、やがてチェンさんと祖母フユさんは、家族のことを話し始め、やっと疑いは晴れたようだったという。


 その後、“ニセの娘”チェンさんはフユさんに定期的に電話をかけ続けた。電話だけで会いに来られない理由としては、心臓の手術などを言い訳にしたという。


 やがて13年もの月日は流れ、フユさんは100歳の誕生日からわずか2カ月後に亡くなった。ジンさんはじめ家族は、フユさんが亡くなるまで“娘”の存在を維持できたのだった。フユさんは娘が死んだことを決して知らなかったという。


 日本では「なりすまし電話」によって、高齢者が騙されるオレオレ詐欺のような嫌な事件が相次いでいる。しかし、このような温かい「なりすまし電話」なら、騙されたフユさんもきっと許してくれるのではないだろうか。


参考:「Daily Star」、ほか


 


※当記事は2021年の記事を再編集して掲載しています。

tocana

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