プーマ定番スニーカー5選、レトロでスタイリッシュ、流れるようなシルエット

2023年12月28日(木)12時0分 JBpress

今や運動靴という枠組みを飛び越え、1つのカルチャーとしても世界中で愛されているスニーカー。その魅力である軽快な履き心地と個性豊かなデザインは、一流の革靴を日々の相棒とする読者諸氏をも魅了してやまない。ここでは“本物”を知る大人の男が選ぶべきスニーカーを提案する。

写真=青木和也 スタイリング=泉敦夫 文=TOMMY 編集=名知正登

 明治〜昭和期の日本において、博物学の分野に大きな足跡を残した知の巨人、南方熊楠。彼が著書の中で亜米利加獅(アメリカライオン)と記したのが、南アメリカ大陸のほぼ全域と北アメリカ大陸の広域に生息する、ネコ科の大型肉食獣ピューマ。そして、この動物が力強くしなやかにジャンプする姿をロゴマークとするドイツ生まれのブランドが、今回のテーマである。その名は“プーマ”。

 唐突なトリビアついでにさらに重ねると、「創業者ルドルフ・ダスラーとアディダスの創業者アドルフ・ダスラーが実は兄弟」なんてネタでもよく知られる同社。しかしながら、2023年で創設75周年にもなる長き歴史を彩ってきたアーカイブモデルの名と姿が、しっかり一致している者が世の中にどれほどいるだろうか。

“裏名品”をテーマに綴った前回の記事でも述べたが、クラシカルなローテク2種「スウェード」「クライド」の名が挙がれば拍手万雷。’90年代ハイテク期の名機「ディスクブレイズ」をご存知とあらば、そこそこ通の域。なればこそ本稿は千載一遇の好機。アニバーサリーイヤーで増す存在感を証明すべく、先述の3モデルを中心に名機5足を結集。その歴史と特徴に触れつつ、力強く美しい肉食獣がシーンに残した偉大なる足跡を追っていく。

1. PUMA「SUEDE VTG THE NEVERWORN II」


懐かしさと新しさが共存。プーマを象徴する永久定番モデル

 偉大なる足跡の一歩目は、やはりプーマの象徴的モデル「スウェード」しかないだろう。ルーツを遡れば、1968年に誕生したトレーニングシューズに行き着く。これが1973年、アメリカのプロバスケットボール選手、ウォルト・フレイジャーのシグネチャーモデルとして「クライド」の名で発売され、さらにそれを基に現在のスタイルが完成した。

 ここで紹介するのは、可能な限りオリジナルに近づけつつ、現代向けに仕様を変えた“ザ・ネバーウォーン”コレクションからの一足である。その名の由来でもある上質なスウェード素材のアッパーと、ヴィンテージ加工を施したミッドソールが織りなすローファイな雰囲気が絶妙に混ざり合い、懐かしくも新鮮な印象を見る者に与える。

2. PUMA「CLYDE VINTAGE」


シンプルなルックスに、些細な差異が生み出すニュアンス

 一歩進んで2歩下がるが、続いては件の「クライド」。先述のように「スウェード」から派生しているため基本的な構成要素はほぼ同じ。アッパーサイドに入ったネームロゴが最も顕著ではあるものの、それ以外ではフォームストライプの角度やヒールのキャットマークの有無など、素人では違いに気付かぬほど差異は些細。

 2023年は、発売から50周年を迎えるアニバーサリーイヤーということで、様々なバリエーションが展開されたが、その中でもヴィンテージ仕様の本モデルを推す声も多い。アッパーとサイドにあしらわれたフォームストリップは、履き込むことで経年変化が楽しめるレザー素材で統一。エイジング加工が施されたミッドソールも相まって、その姿に同作が歩んできた歴史を垣間見る。

3. PUMA「DISC BLAZE OG」


ディスクシステム搭載で、時代を回天させた革命機

 第一次ハイテクスニーカーブーム真っ只中にデビューを飾った「ディスク ブレイズ」。アッパーのシューレースを排し、甲部分に設置されたダイヤルにより、フィット性とサポート性を自在に調節出来るディスクシステムで一世風靡した同作が2023年に30周年を迎えた。これを記念し、発売当時のデザインを忠実に再現して復刻。

 注目すべきはフィッティングのみにあらず。足回りには、優れたクッショニングを誇るトライノミックソールを搭載。これにより着地時の衝撃を緩和し、快適な履き心地を提供する。しかもアッパーは、快適性と通気性を追求したエアロプレーンと耐久性を備えたレザーのコンビネーション。あの頃を知る世代ならば、手を出さずにはいられないのでは。

4. PUMA「SLIPSTREAM LO RETRO」


クリーンな配色にディテール際立つ、名作’80sバッシュ

 歴史を紐解き、その足跡を追っていくと“プーマのバッシュには名機が多い”という事実に気付かされる。1987年に登場した「スリップストリーム」もまた然り。当時最新鋭のクッショニングテクノロジーとして開発されたアンチ ショック システムを搭載し、その優れたパフォーマンス力&デザイン性から、コートのオン・オフ両方で支持を集めた本作。

 レトロをその名に冠したこの復刻版では、白を基調とした配色が生み出すクリーンなムードを、耐久性の高いレザーアッパーに補強として重ねたスウェード素材のオーバーレイ、軽量なプラスチック製Dカンというオリジンから継承されたディテールが際立たせている。“定番なれど通好み”なんてワガママに応えてくれる一足をお探しならば、ぜひ。

5. PUMA「ARMY TRAINER OG」


ミリタリープロダクツから着想を得た、玄人好みの佳作

 最後は本稿のテーマ“定番”という轍からは少々外れる変化球を。“アーミー”と冠したモデル名からも分かるように、元ネタは1970年代に西ドイツ軍が屋内演習用シューズとして開発し、1994年まで制式採用されていた、通称「ジャーマントレーナー」。当時の製造工場が、プーマのシューズ生産も担っていたという歴史的事実に基づき、アーカイブから復活を遂げた。

 落ち着きのあるスウェード素材のアッパーに、テクスチャー加工の合成レザーで作られたフォームストリップがなめらかなラインを描き、踏破性が高く薄めに設計されたガムラバーのアウトソールも、今の気分にマッチする。軍用という出自に由来する機能的かつアノニマスな意匠は、シンプルを尊ぶ大人の足元によく似合うに違いない。

筆者:TOMMY

JBpress

「スニーカー」をもっと詳しく

「スニーカー」のニュース

「スニーカー」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ