鳥にも個性があり、鳴き声に性格が表れていることがオーストラリアの研究で判明

2025年4月25日(金)8時0分 カラパイア


Photo by:iStock


鳥のさえずりには、求愛や縄張りを主張するための役割があることはよく知られている。だが、最近の研究によって、鳥にも個性があり、その鳴き声に性格がにじみ出ていることが明らかになった。


オーストラリアに生息するルリオーストラリアムシクイというスズメ目の小さな鳥を対象に行われた調査によると、冒険心が強い個体ほど複雑な鳴き声を持ち、攻撃的な個体ほど比較的シンプルな鳴き方をする傾向が見られたという。


ルリオーストラリアムシクイは、オスとメスで体の色や模様がまったく異なる性的二形の鳥だが、鳴き声に表れる性格の傾向には性別の違いは見られなかった。


オスとメスで外見が異なるルリオーストラリアムシクイ


 ルリオーストラリアムシクイ(学名:Malurus cyaneus)は、オーストラリア南東部に広く分布する体長15cmほどの小鳥で、主に低木林や公園、庭先などの草むらで暮らしている。


 日本語では「ルリ(瑠璃)」とあるように、オスは特に繁殖期にかけ、鮮やかな青色の羽を身にまとう。その美しい外見と澄んだ鳴き声から、オーストラリアの鳥好きたちの間ではとても人気が高い種だ。


 一方のメスは地味な茶色系で、見た目の違いがはっきりしている性的二形[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%80%A7%E7%9A%84%E4%BA%8C%E5%BD%A2]だ。


 群れで行動することが多く、社会性が高いことでも知られている。


 また、「協同繁殖」という特徴を持ち、子育てには両親だけでなく兄弟姉妹や他の個体も加わって手伝うという、ちょっと珍しい子育てスタイル[https://karapaia.com/archives/52327804.html]をとる。



オーストラリアムシクイのメス(茶色)とオス(青) Photo by:iStock


冒険好きな鳥ほど鳴き声のバリエーションが豊か


 オーストラリア・アデレードにあるフリンダース大学のダイアン・コロンベリ=ネグレル博士の研究チームは、野生のルリオーストラリアムシクイが持つ性格と鳴き声の関係を調べるため、実験と観察を重ねた。


 研究チームは、探索性(新しい環境や物事への関心)と攻撃性(他の鳥への敵対反応)という2つの性格特性に注目した。


 まず、野生の個体を一時的に捕獲して性格をテストし、その後自然に返してから数か月にわたりさえずりを録音した。


 その結果、探索性が高い、つまり冒険心が強い個体は、1回のさえずりの中に含まれる音の種類が多く、より複雑な鳴き声を持つ傾向があることが判明した。


研究の第一著者であるコロンベリ=ネグレル博士は次のように説明している。


性別や成長段階に関係なく、冒険好きな個体ほど、1つのさえずりに含まれる音の種類が多くなっていました。これは、探索的な鳥ほど多くの先輩たちに近づき、そこからさまざまな鳴き方を学んでいる可能性があるからかもしれません



 つまり、行動範囲が広く学びの多い個体ほど、歌に個性とバリエーションが生まれるということだ。


攻撃的な性格は短くて単調なさえずりに


 一方で、攻撃性の高い個体は、1回のさえずりの中に含まれる音節の数が少なく、シンプルな鳴き声を持つ傾向があった。


 また、攻撃的でも若鳥のうちは例外的に音の要素が多かったものの、成鳥になるとその傾向は見られなくなった。


 つまり、攻撃的な成鳥は、若いうちはその限りではなく、成長に伴って鳴き声のパターンが変化しているようだ。


 こうした鳴き方の違いは、鳥たちが自分の性格や社会的立場に応じて、使う声のスタイルを調整している可能性を示唆している。



クリーランド野生動物公園(南オーストラリア州アデレード)のメスのルリオーストラリアムシクイ Photo Andrew Katsis. Credit: Flinders University.


クリーランド野生動物公園(南オーストラリア州アデレード)のメスのミソサザイ。写真:アンドリュー・カトシス。提供:フリンダース大学。


性格が鳴き声に表れるのは、オスもメスも同じだった


 さらに注目すべきなのは、この傾向がオスだけでなくメスにも見られたことだ。


 これまで鳥のさえずり研究はオスの鳴き声ばかりに注目が集まっていたが、本研究ではメスの鳴き声にも明確な性格との関連が確認された。


 コロンベリ=ネグレル博士は、次のように述べている。


本研究は、オスもメスも歌を通じて自分の性格をアピールしている可能性を示しています。これは、つがい相手を選ぶ際にも重要な意味を持つかもしれません



 考えてみれば、人間の声にもその人の性格がにじみ出ることがある。明るく快活な人はテンポよく話すし、乱暴な人は声も大きく荒いこともある。


 内向的な人は言葉を選びながら静かに話す。鳥たちも同じように、性格をそのまま声に乗せているのかもしれない。


 近所の公園や庭先で聞こえる小鳥の声に耳を傾けてみよう。その鳴き声の違いは、「私はこんな性格です」と語りかけているのかもしれない。


 この研究は『The Royal Society[https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rsos.241497]』誌(2025年4月16日付)に掲載された。


References: Personality predicts song complexity in superb fairy-wrens | Royal Society Open Science / News.flinders.edu.au[https://news.flinders.edu.au/blog/2025/04/16/birdsong-may-help-find-a-mate/] / Eurekalert[https://www.eurekalert.org/news-releases/1080521]

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