米FTCの巨大IT調査、偽情報対策も「検閲」とみなされる可能性
2025年2月21日(金)18時54分 読売新聞
米連邦取引委員会(FTC)の紋章=ロイター
【ワシントン=田中宏幸】米連邦取引委員会(FTC)は20日、巨大IT企業がSNS利用者の投稿や接続を制限する行為が「検閲」にあたる恐れがあるとして、調査を開始すると発表した。5月21日まで意見を公募し、実態把握を進める。各社が取り組む偽情報対策まで「検閲」とみなされる可能性がある。
FTCは、巨大ITが不透明な社内手続きで、利用者への事前通知なくサービスへのアクセスを制限しており、利用者側は異議を申し立てられないと指摘。「検閲は非米国的であるだけでなく、違法である可能性がある」と主張した。
アンドリュー・ファーガソン委員長は声明で「巨大IT企業は利用者を脅迫すべきではない」と述べた。第2次トランプ政権の発足に伴って就任した同氏は、監視や規制よりも技術革新を重視する立場とされる。バイデン前政権下で委員長を務めたリナ・カーン氏は規制強硬派として知られた。
トランプ米大統領はかねてSNSなどへの投稿に対する規制を批判してきた。メタは1月、第三者機関を通じて投稿の真偽を検証する「ファクトチェック」を米国で廃止すると発表した。トランプ氏の意向に配慮したとの見方も出ている。
FTCが調査の結果、反競争的な「検閲」を行っていると判断すれば、巨大ITへの法的措置などに踏み切る可能性もある。SNS投稿への監視や規制が緩むことで、偽情報の拡散につながることへの懸念が強まるとみられる。