旭川女子高生殺害、懲役25年を求刑された女「あの日の真実を話しただけで自分の罪が軽くなるとは思っていません」
2025年3月6日(木)9時9分 読売新聞
被害者が転落した状況を調べる道警の捜査員。事件当時、橋から水面まで約13メートルあったという(昨年6月25日、旭川市で)
北海道留萌市の女子高校生(当時17歳)を旭川市の神居大橋から転落させて殺害したとして、殺人罪などに問われた女(20)の裁判員裁判が5日、旭川地裁で結審した。懲役25年を求刑した検察側は、「10メートルも泳げなかった」という被害者が溺死する瞬間まで味わい続けた恐怖と苦痛を想像するよう裁判員に要求。弁護側は最終弁論で「懲役15年が相当だ」と反論する一方、「転落の原因」について被告が真実を述べているかどうかには言及しなかった。(高橋剛志、佐賀秀玄)
被害者を欄干に座らせ、女と内田
これが女の法廷供述に基づく転落の経緯だ。検察側の起訴事実はここまで経緯を詳述しておらず、仮に供述が真実だとすれば、女と内田被告の判決内容にも大きな違いが生じることになる。
事件の真相解明につながる可能性を秘めた発言でもあったが、検察側は「自分の責任を軽くするためのもの」と捉えたようだ。
「欄干の外側の幅は10センチ。本当に立てるのか」。論告で法廷供述の疑問点を次々と指摘する検察官。一呼吸置き、厳しい口調でこう切り捨てた。「直ちに信用できるものではない」
一方、弁護側の最終弁論も、女が真実を述べているかどうかの“補足説明”がないまま20分足らずで終了した。弁護人の説明の大部分は、「あくまでも従属的な立場だった」という点と「遺族への被害弁償に向け、社会復帰後に定職に就くための勉強に打ち込んでいる」というエピソードの紹介に充てられた。
女は起訴事実を全面的に認めており、有罪判決が出る公算が大きい。その上で裁判官と裁判員は、法廷供述の信用性の判断にまで踏み込むのか。
審理の締めくくりとして、小笠原義泰裁判長から発言を求められた女は、涙ながらに「あの日の真実を、あの日したことを話しただけで、自分の罪が軽くなるとは思っていません」と語った。判決の言い渡しは7日午後3時。女は「下された刑に従います。どんな判決であろうとも、覚悟はできています」とも述べている。