開花日の目安がわかる?東京の桜「400℃の法則」「600℃の法則」とは
2025年3月9日(日)13時15分 ウェザーニュース

2025/03/09 13:00 ウェザーニュース
いよいよあと2週間ほどでソメイヨシノなどの桜の開花が始まろうとしています。
この時期は桜開花予想がニュースを賑わせますが、今回は簡単な計算で開花の時期の目安がわかる?「400℃の法則」「600℃の法則」をご紹介します。
桜の開花メカニズム
桜の花芽は、開花前年の夏にはできています。それが秋から冬にかけて、生長しないように休眠状態に入って年を越します。そして充分に低温刺激を受けた後に気温がぐっと高まった段階で休眠から目覚めます。これを「休眠打破(きゅうみんだは)」といいます。

休眠打破の仕組み
気象情報会社などが行う開花予想では、この休眠打破の日を起算日として、温度変換日数を積算し、地点毎に定めた日数に到達した日を開花日と予想します。
自分でも簡単にできる予想の仕方
そういった複雑なやり方をとらずとも、実は東京・靖国神社にある桜の標本木については「400℃の法則」「600℃の法則」と呼ばれる手順を使えば、手軽におおまかな桜の開花を予想できるといいます。内容はいたって簡単。
【400℃の法則】
2月1日以降の日平均気温の合計が400℃に達する頃に開花する
【600℃の法則】
2月1日以降の日最高気温の合計が600℃に達する頃に開花する
つまり、2月1日を「休眠打破の日」と仮定して開花予想の起算点に設定し、そこから毎日の平均気温や最高気温を足し算していくだけで桜の開花予想ができるのです。
実際に2010年以降のさくらの開花日をあてはめてみると、誤差は3日程度におさまっている年が多く、簡単な計算の割にはまずまずの結果となっていました。

1990〜2020年の30年間をもちいた「平年値」をグラフにしてみると、さくらの開花日の平年日は「400℃の法則到達日の2日前」「600℃の法則到達日の2日後」となっています。このことからも、それなりの精度が出ることが裏付けられます。
一方、大きく外れる年も…
ただ、大きく外れた年もありました。典型的なのが昨年2024年です。
昨年は2月中頃に季節外れの暖かさの日が多かったものの、2月下旬〜3月にかけては平年よりも寒い日が多くなりました。この結果、実際に桜が開花したのは「400℃の法則の9日後」「600℃の法則の11日後」となってしまいました。
平均的な気温推移であれば参考になる「400℃の法則」「600℃の法則」も、開花目前の時期が寒い場合には当たりにくいということがわかります。
今年はどうなる?

気になる今年はどうでしょうか。今年は2月上旬と下旬に二度の寒波があり、3月上旬にも雪の降る寒い日が2回ありました。それでも“法則”の達成ペースは平年値より1〜2日ほど早くなっています。このままであれば、平年の開花日3月24日よりも少しだけ早い開花になると予測を立てることができます。
ただ、やはり気になるのは開花目前の時期となる3月の気温です。今週後半にかけては予想気温が平年よりやや高い傾向が予想されていますので、一気につぼみの生長が促されることが期待出来ます。一方で、3月上旬の気温の低さや、今週末以降に下がると予想されている寒さが気になります。昨年のように3月が寒いと“法則”よりも開花が遅れることも考えられるため目が離せません。
「400℃の法則」「600℃の法則」はあくまで東京の標本木における経験則ですが、他の地域の桜も似たような計算ができそうです。地域ごとの特性がありそうですので、ご自身の近くの桜も調べてみると面白いかもしれません。
もっと簡単に開花予想を知りたい場合は、ウェザーニュースの「さくら開花情報」サイトをぜひご活用ください。