大西飛行士乗せたクルードラゴン、打ち上げ成功…ISS船長として半年間の長期滞在へ

2025年3月15日(土)11時28分 読売新聞

打ち上げ場所へ向かう大西卓哉さん(14日午後3時45分、米フロリダ州のケネディ宇宙センターで)=冨山優介撮影

 【ケネディ宇宙センター(米フロリダ州)=冨山優介】宇宙航空研究開発機構(JAXA)の大西卓哉・宇宙飛行士(49)らを乗せた宇宙船クルードラゴンは14日午後7時5分(日本時間15日午前8時5分)頃、米フロリダ州のケネディ宇宙センターからスペースXのファルコン9ロケットで打ち上げられた。約10分後、宇宙船は正常に切り離され、打ち上げは成功した。

 大西さんらは15日(日本時間16日)に国際宇宙ステーション(ISS)へ到着し、約半年間の長期滞在を始める。

 大西さんと米露の飛行士の計4人は14日午後、白い宇宙服を着用し、センター内の待機施設から現れた。家族や支援役の星出彰彦・飛行士(56)らに見送られながら車に乗り込み、打ち上げ場所まで移動した。

 その後、宇宙船を搭載したロケットは轟音ごうおんとともに打ち上がり、地上から約400キロ・メートル上空のISSに向かった。

 大西さんの宇宙飛行とISS長期滞在は2016年以来、2回目。今回は滞在中、初めてISS船長に就く。日本人飛行士が船長になるのは、若田光一さん(61)、星出さんに続く3人目となる。

 大西さんはISSにある日本の実験棟「きぼう」で、半導体の材料となる結晶の生成や、船内の空気から二酸化炭素を除去する技術の実証など、微小重力環境を利用した様々な実験に臨む。

 9年ぶりとなる宇宙飛行で、船長という大役も担う大西さん。7日に現地で開かれた記者会見では、「クルーとISSの安全を確保することが最大の目標だ」と、ベテラン飛行士としての強い決意を語った。

 16年に初めてISSに長期滞在した際、地上から飛行士を支える管制業務の重要性を認識した。

 大西さんは地球に帰還後、「きぼう」の運用や、各国の飛行士らと地上から交信して任務をサポートする仕事に志願。JAXAは20年、日本側の管制業務の総指揮を担う「フライトディレクタ」に大西さんを認定した。宇宙と地上、両方の業務を知るプロフェッショナルとして「今回はもっといい仕事ができる」と自信を示す。

 打ち上げ成功後、大西さんは船内からの中継で「9年ぶりの無重力の感覚をかみしめています。ISSへの宇宙の旅を楽しんでいきたいと思います」と、落ち着いた口調であいさつした。

 日本人飛行士のISS長期滞在は、油井亀美也ゆいきみやさん(55)も今年以降に予定しており、活躍が続く見通しだ。

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