気象予報士が厳選!4月の空の着目点

2019年4月1日(月)5時0分 ウェザーニュース


2019/04/01 05:00 ウェザーニュース

4月頃は、冬の寒気が北上し、南に控えていた暖気が日本付近にやって来ます。寒気と暖気の境が偏西風となり、その流れの中に低気圧と移動性高気圧が発生、天気が数日おきに目まぐるしく変化します。
空の様子も、低気圧と高気圧によって特徴的な状況がたくさん発生する月。 天気予報を考え続けるウェザーニューズ気象予報士が、4月の空の着目点を厳選紹介します。

▼今回紹介する4月の空▼

・油断できないアーチ雲
・冬の晴天と違う、春霞
・わた雲、そして…雨雲へ!?
・ぼんやり朧月

アーチ雲

京都市を寒冷前線が通過した際に発生した雲。 稲妻も見事に捉えた衝撃の一枚

日本に次々にやって来る低気圧と前線ですが、南から流れ込む暖気のレベルが上がるにつれて、低気圧・前線ともに、より発達します。
発達した前線(特に寒冷前線)が通過する時に発生するのが『アーチ雲』です。

発達した積乱雲(雷雲)の進行方向前面で、積乱雲から吹き出す冷気と地上付近にたまっている暖気がぶつかることで暖気が上昇、この時発生する雲をアーチ雲といいます。形がアーチ状に出来ることでこのような名前が付いています。
上空に広がる積乱雲の下に棚のようにくっついているようにも見えるので棚雲とも呼ばれます。
独特の形をした雲で、見つけると(個人的には)少し感動するのですが、意外と頻繁に発生します。ただ、この雲は油断できない危ないヤツです。
◆アーチ雲を見たら、突風や大雨、落雷などに注意
アーチ雲を見た時に、最も警戒しなければいけないのは突風です。積乱雲から吹き出す冷たい風が突風となり、被害を与えることがあります。
次に突然の大雨が起こります。積乱雲は短時間ですが猛烈な雨を降らせるため、道路の冠水や河川の急な氾濫などに注意が必要です。
さらに、落雷や気温の急低下など様々な現象が短時間(1時間以内)で発生する可能性があります。

春霞(はるがすみ)

高気圧に覆われ、穏やかに晴天。 ただ、黄砂の影響で空は霞んでいる。

低気圧が去った後には高気圧がやって来るのが4月の特徴です。高気圧は春のポカポカ陽気をもたらしてくれるのですが、冬の晴天とは違い、青空が霞みます。
◆高気圧によって『空気の蓋』ができ、地上を覆う
高気圧に覆われると上空から地上に向けて下降気流が発生します(これは、地上で体感できる風ではありません)。この下降気流があるおかげで雲が発生・発達せず、晴れるのですが、下降気流がしっかりすればするほど、大気中に“逆転層”というものが発生します。
この逆転層は空気の蓋(ふた)と呼ばれており、まさに地上を覆う蓋の役目をします。そのため、地上付近にあるチリやホコリ、水滴は上空高くにまで舞い上がることは出来ず、地上付近に漂います。
また、高気圧に覆われていて風が弱いことも、チリやホコリが地上付近に貯まってしまう要因になります。
その結果、太陽の光が色々と散乱されてしまい、空が霞んで見えるのです。春は、冬のようにスカッときれいな青空はあまり望めません。
◆『黄砂』がやってくる時期
春は黄砂もやって来ます。高気圧の前にやって来た低気圧が、中国の砂漠で砂を巻き上げ、それが風に乗って日本にやって来るためです。
そのため、発達した低気圧が通過した後は、黄砂による空の霞みも良く起こる時期になります。

わた雲、そして…雨雲へ!?

高気圧に覆われて晴れた日。 青空にわた雲が浮いています。

◆空気が暖かく湿った状態でできる『わた雲』
4月は南から暖かな空気が流れ込むことが増えてきます。
南からの空気は暖かなだけではなく、湿っているため、晴れた日でも空にはポコポコと浮かぶわた雲が現れることがあります。穏やかな日のわた雲は、ほんわかしていて春にピッタリですね(^^)
◆忘れちゃ行けない『寒気』の存在
ところで、4月は低気圧と高気圧の他にもう一つ重要な登場人物がいます。それは上空の寒気です。
上空というのは、地上付近の気温には直接関係しない、ずっと高いところ(天気予報では主に5,500m付近の高さ)を指します。
上空の季節は地上の季節より少し進むのが遅く、4月は時々この“寒気”がやってきます。この時に起こる現象には要注意です。

【左】わた雲がニョキニョキと上に伸びようとして、ツクシのようになっています。【右】上空に-30℃という強い寒気が入り、雲が更に発達。雨雲になろうとしています。

◆上空と地上の気温差で雲が発達
 雷雨になることも

上空に強い寒気がやって来たとしても、地上の気温には大きな変化はありません。しかし、雲がモクモクと発達しやすくなるのです(天気予報でよく聞く「大気の状態が不安定」という状況)。
4月は太陽の力が増して地上に暖かな空気が流れ込むようになり、地上の気温は15℃〜20℃が当たり前となります。
その上空に寒気が流れ込んでくると、地上と上空の気温差が非常に大きくなり、地上から上空に向かう上昇気流が強まりやすくなります。
この上昇気流が発生することで、『わた雲』がニョキニョキと発達して、あっという間に積乱雲となり雷雨をもたらすことがあります。これは夏のゲリラ雷雨と同じ現象です。

朧月(おぼろづき)

朧月と月ハロ

低気圧が接近する時は、一気に雨雲がやってくるのではなく、始めは空の高〜いところに薄い雲が広がり、段々と低く厚い雲へと変化していきます。
また、湿った空気が流れ込むことで空の低いところにわた雲が増えることもあります。
これらの雲を通して月を見ると、ぼんやりとした『朧月』になります。
薄い雲を通して月を見た場合は、月の周りにハロや光冠と呼ばれる七色の円上の光が見えることもあり、より一層ステキな空を楽しむことができます。
このように、特徴的な空を見ることができる4月。ふと空を見上げた時に、頭上で何が起こっているか想像すると、ちょっとだけ楽しいかもしれません(^^)/


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