外国人が驚く日本のゴミ出しルール 日本人にとって分別は当然、異文化摩擦どう避けるか

2025年4月13日(日)13時0分 J-CASTニュース

2025年4月時点で各地の自治体のウェブサイトを見ると、外国人向けに「ごみ出しルール」を知らせる対応言語が増えている。

神戸市は2024年8月、「簡易版ごみの出し方ルールちらし」にインドのヒンディー語版を追加した。これで対応する外国の言語は12に増えた。英語、中国語、韓国・朝鮮語、ベトナム語、ポルトガル語、スペイン語、ネパール語、ベンガル語、ミャンマー語、ウズベク語、インドネシア語、ヒンディー語である。

「知らなくて困ったこと」最多が「ゴミの捨て方」

来日した外国人にとって、日本の「ごみ出し」は異文化摩擦の最初の試練だ。国内在住の外国人向け情報サイト「YOLO JAPAN」が72か国513人から回答を得たアンケートによると、日本のルールやマナーについて「知らなくて困ったことがある」という人が全体の60%を占めた。その内訳で最多となったのが「ゴミの捨て方」だ。「ビジネスマナー」などを上回り、こんな声も寄せられたという。

「自治体指定のゴミ袋があることを知らなかった」(オーストラリア、40代、女性)
「ゴミを前日の夜に出してはいけないと知らなかった」(米国、50代、男性)
「可燃ゴミと不燃ゴミの違いが分からなかった」(マレーシア、20代、女性)

一方、全体の81%が日本のルールやマナーについて「グローバルスタンダードにしたいと感じた良い事例がある」と答え、その事例のトップに選んだのも「ゴミの分別」だった。最初は驚き、つぎに感心している様子がうかがえる。

環境先進国の北欧スウェーデンでは、ごみを100種類に分別し、99%をリサイクルや電力エネルギー源としているという。そこまでいかなくても日本の熱心さは世界屈指だ。全国に拠点をもつ「アート引越センター」によると、多くの自治体で分別は11〜15種類が平均的だという。

しかし、海外の国々の大半はそんなに細かくない。そこが異文化摩擦の火種になる。千葉県佐倉市のウェブサイトの「市政へのご意見」欄に、こんな市民の声が紹介されている。

「マナー等守らずに生活されますと、やはり、外国人だから?とか外国の人は?と悪印象になってしまうので、外国人の方が佐倉市の住民として市役所に届けに来られた時には、しっかり生活面での注意等宜しくお願い致します!」

「郷に入っては郷に従え」外国人も異文化理解を

これに対して佐倉市は、「分別一覧表」を日本語・英語・中国語・スペイン語の4言語で配布し、自治会などの要望があれば、ごみ収集場所にルールを外国語で掲示するとし、「周知に努める」と答えている。

清掃行政にくわしい立教大学の藤井誠一郎准教授は2024年1月、愛知県で外国人居住者の多い地区の可燃ごみ収集を体験した。ルールを無視したごみが多かったという。「日本人にとってはごみの分別は当然となっており、いわば日本の文化であると言える」「外国人であっても『郷に入っては郷に従え』の意識を持ち、自発的に異文化を学ぶ意思が芽生えてほしい。また、自治体としては、分別の案内だけでなく、分別する理由や意味を粘り強く説明し続けてほしく思う」。藤井氏は東洋経済オンラインに連載するコラム「ごみ収集の現場から」の中で、そう希望を述べている。

(ジャーナリスト 橋本聡)

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