「ふるさと納税」停止で歳入見込めず、地域交流拠点見送り…シャインマスカット産地偽装の長野・須坂市
2025年4月17日(木)15時57分 読売新聞
ふるさと納税の返礼品であるシャインマスカットの産地が偽装されていた問題で、長野県須坂市は16日、地域交流拠点の新設事業など今年度に実施予定だった事業の一部を見送る方針を示した。ふるさと納税の受け付けを全面停止し、想定していた税収が見込めなくなるなどしたためだ。市の今年度当初予算総額の3%を占める計約11億4000万円の事業費を減額する補正予算案を6月市議会に提案する。
同日開かれた市議会全員協議会で明らかにした。
県によると、ふるさと納税制度による2023年度の市への寄付額は39億円と県内の自治体では最多で、約8割がシャインマスカットだった。
市の当初予算は312億円で、ふるさと納税の寄付額として25億円の歳入を見込んでいたが、見通しが立たない状況になっていた。
先送りする事業の中には、児童クラブと公民館、防災拠点の三つの機能を兼ね備えた地域交流拠点を新設する事業も含まれる。児童クラブが手狭になるなどしていたためで、設計費などに9516万円を充てていた。児童クラブに小学1年の息子(6)を通わせる同市の30歳代のパート従業員女性は「広々使える新しい施設の建設が遅れるのではないかと思い、残念。ふるさと納税の問題がここまで関係してくるとは」と肩を落とした。
三木正夫市長は「大変心苦しいが、市民福祉に影響がでないよう最大限配慮している」と理解を求めた。
市の対応を検証、第三者委設置へ
須坂市のふるさと納税の返礼品に産地偽装があった問題で、市は16日、産地偽装を巡る市の対応を検証する第三者委員会を設置することを決めた。再発防止が狙いで、早ければ5月中に設置される見通しだ。
同日開かれた市議会臨時会で関連条例案が可決された。関連費用として340万円を議決した。市は640万円を求めていたが、市議会が減額修正した。
市は今後、県弁護士会に委員となる弁護士3人の推薦を依頼する。調査対象は主に市の職員らで、産地偽装を行った日本グルメ市場(和歌山県)への調査も想定しているという。調査期間は半年間程度を見込むが、速やかな報告を求めるとした。