自閉症の人を「困った人」...著書炎上中のカウンセラー、取材に意図を説明 「1、2日中に出版社とコメント出したい」
2025年4月18日(金)13時43分 J-CASTニュース
ASD(自閉症スペクトラム)などの人を職場の「困った人」と表現した新刊著書がネットで炎上していることについて、著者の産業カウンセラー、神田裕子さんが、J-CASTニュースの取材に応じ、その意図を説明した。
神田さんは、自らも「困った人」かもしれないとしてコミュニケーション術を書いたことなどを挙げ、「私の中に差別意識はまったくありません」と強調した。新刊の発売元「三笠書房」(東京都千代田区)と連名で、1、2日中には何らかのコメントを出したいとしている。
「『困った人』とはお互い様の精神で協力、という意図」
今回の著書「職場の『困った人』をうまく動かす心理術」では、ASDの人を「こだわり強めの過集中さん」と紹介するなど「困った人」を6タイプに分けて対応をマニュアル化した。タイプ別に動物に例えてイラストを載せており、ネット上では、差別を助長するなどと批判が相次ぐ炎上状態になっている。
このことについて、著者の神田さんは2025年4月18日、取材に応じて、「困った人」などと表現したことについて説明した。
「人には、多かれ少なかれ能力に違いがあり、発達障害の方は、それが凹んでいるのが顕著で障害と診断された方を言います。長年カウンセリングをしていて、どの方の悩みにも同じ芽があります。私自身にも、それっぽいところがあり、上から目線ではなく、自分のこととしてすべて捉えています。自分も『困った人』かもしれないと考え、お互い様の精神で協力しましょうというのが表現の意図です」
また、動物に例えたことについては、次のように述べた。
「出版社との編集会議では、最初は人のイラストでしたが、『リアル過ぎるね』との意見が出て、愛おしくピュアな部分を出せないかと考え、動物はどうだろうと提案がありました。ペットなどが可愛らしいと思うように、それなら愛されるだろうとなって、決まりました。例えば、ADHD(注意欠如・多動症)の方については、好奇心旺盛ですので、サルがいいのではないかとなりました」
こうした表現を批判されたことについては、こう話した。
「蔑むような考えは、持ち合わせていません」
「発達障害の方などを蔑むような考えは、持ち合わせていません。ただ、誤解を与えてしまったことは事実です。もっと言葉遣いや気遣いが必要だったと感じています。時間をかけて慎重でなければいけなかったと思っています。編集会議は何回もありましたので、出版社と私のどちらがどうだ、といったことはありません」
今回の著書については、障害などがある当事者ではなく、様々なタイプの人を雇用する側に読んでもらいたかったとした。
「適材適所でないと、できない業務はやはりできません。当事者の行動で、周りの方がカバーして、疲弊している現状があります。そこで、行動の背景を書き、できないならやってあげようと思うようになるなど、お互いを知ることでコミュニケーションにつなげる狙いがあります」
SNS上では、炎上商法だとして勝手にプロフィールを書き換えたものなどが出回っているといい、こうしたデマや誹謗・中傷については、法的措置を取ることも検討していることを明らかにした。
今のところ予定通り4月24日に著書を発売するとしたが、ここ1、2日中には、三笠書房と連名で何らかのコメントを出版社サイトで出したい考えも示した。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)