一部で「高すぎ」批判の万博メシ、来場者は「現地に行くこと考えれば値段は妥当」…世界の本場料理が好評

2025年4月19日(土)14時0分 読売新聞

開場直後から大勢の人でにぎわう万博会場(19日午前、大阪市此花区で)=飯島啓太撮影

 大阪・関西万博の会場には、約100の飲食施設があり、こだわりの食材を使った日本のグルメのほか、世界各国の本場の料理が味わえる。多様な食に触れられることも、万博の魅力の一つとなっている。(平野真由、常陰亮佑)

 兵庫県姫路市の「まねき食品」は会場内の店舗で、地元のご当地グルメ「えきそば」の特別メニューを提供している。普段はJR姫路駅を中心に中華麺に和風だしを合わせた「えきそば」を出しているが、万博に向けて「究極の神戸牛すき焼きえきそば」を開発。すき焼きにした神戸牛100グラムと新開発の麺に海鮮の風味を加えただしを合わせ、輪島塗の器に盛りつけた。

 価格は税込み3850円と、駅で提供する天ぷらえきそばの8倍だが、新潟県長岡市のパート職員の女性(53)は「お肉はやわらかく、スープは魚介のだしが利いている。せっかく万博に来たので奮発した。食べてよかった」と顔をほころばせた。

 同社の竹田典高社長(43)は「思い出になるようなものを食べてほしい一心で開発した」と説明する。店では1000円台のメニューも用意している。

 万博は来場する外国人に日本の食文化を伝える機会にもなる。「醱酵はっこう食堂 Hasshokuはっしょく」は、各地から厳選したしょうゆやみそなど、こだわりの素材を使った料理を提供している。担当者は「発酵食品を通じて日本の食文化を世界に知ってもらいたい」と語る。

 外食関連の企業でつくる「大阪外食産業協会」も飲食店を集めたパビリオンを出展している。パビリオンの広報本部長を務める森田佳代子さん(52)は「日本の外食産業が本格的に発展するきっかけになった1970年の大阪万博のように、『天下の台所』を体現する契機にしたい」と意気込む。

 日本国際博覧会協会によると、会場内では、キッチンカーを含む飲食店約70店が営業するほか、約30の海外パビリオンもレストランやカフェを設けている。

 日本ではなじみのない料理も多い。地中海の島国・マルタは、ツナやオリーブを挟んだ伝統的なパン「イル・フティーラ」(税込み1400円)を販売。クウェート館では、じっくりと火をいれたラム肉にサフランライスを添えた名物の「ラムマクブース」(同3850円)が味わえる。

 サウジアラビア館に併設されたレストランで、大阪府泉大津市の男性会社員(47)は、魚丸ごと1匹をスパイスで仕上げた「サイヤディーヤ」や飲み物を堪能した。

 飲食代は夫婦2人で9900円。男性は「実際に現地に行って食べることを考えれば、値段は妥当。遠いサウジアラビアを身近に感じられた」と話した。

テーマパークの飲食料金、高くなる傾向

 万博会場で提供されている一部の料理に対し、SNS上では「高すぎ」「ぼったくりグルメ」などと批判する投稿もある。これに対し、外食産業に詳しい関西学院大の川端基夫名誉教授は「会場内への出店費用のほか、輸送費や人件費もかかり、価格が高くなるのは仕方がない」と指摘する。

 テーマパークの飲食料金も高くなる傾向にある。大阪市の「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)」では、恐竜をイメージしたハンバーガーとフライドポテト、ドリンクのセットが税込み3500円だ。

 広報担当者は「メニューの開発や1日数万人分を提供するための設備の費用などを反映している。食事を含め、特別な体験として評価していただいている」と説明する。

 万博会場にはコンビニもあり、高額の食事ばかりではない。桜美林大の山口有次教授(観光産業)は、SNS上での批判について「今回の万博は開幕前にネガティブな情報が多く、ファンが少ないことが影響している。今後、来場者にファンになってもらえるかが重要になる」と話す。

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