77歳の佐竹知事、秋田県庁を後に…花束で出迎えた4歳の孫に「じいじ今度から遊べるからね」
2025年4月19日(土)14時28分 読売新聞
花束を手に県庁の出入り口でお辞儀をする佐竹知事(18日午後5時半頃、県庁で)
4期16年にわたり県政を率いた佐竹知事(77)が18日、任期満了を前に最後の登庁日を迎えた。県民に向けて「温かい心で支えてもらい、ありがとうございました」と感謝を口にし、多くの職員に見送られながら県庁を後にした。(池田航大、藤田陽平)
午前10時、知事としての最後の一日は、20日から新知事としての任期が始まる鈴木健太氏(49)を迎えることから始まった。応接室で鈴木氏に引き継ぎ書や予算の書類を手渡し、「やらなければいけないことがたくさんある。アンテナを張って、良い方向に持っていってください」と激励。鈴木氏は「16年間本当にお疲れさまでした」とねぎらった。
引き継ぎを終え、鈴木氏を知事室に案内した佐竹知事は「今の状況やこの後の県の動きを細かくしっかり伝えた」といい、鈴木氏は「リーダーとしての心構えを教わった」と語った。
午後1時に定例記者会見に臨み、県民への思いの漢字に「謝」を挙げて「16年間務めることができ、感謝でございます」と述べた。「至らぬ点もあり、謝るという意味も20%くらい入っています」とも打ち明け、「じゃこ天騒動では普通なら非難ごうごうだが、県民の皆さんにカバーしてもらった」と振り返った。
午後2時、県庁のホールで幹部ら約300人を前に退任のあいさつを行った。県職員や秋田市長などを経験してきて職責を全うできたのは知事の職務が初めてだったとして「感慨深い思いです」と話した。
東日本大震災、コロナ禍、大雨被害といった任期中の出来事も振り返り、「変化に対応できるのが一番の人間の知恵。強い者が勝つのではなく、対応できる者が勝つ」と力を込めた。
新知事の就任に向けては「心を一つにし、良い成果が出せるよう努力してもらいたい」と呼びかけて、大きな拍手を受けた。その後、県庁や県議会棟などをあいさつして回った。
午後5時20分頃、知事室を出た佐竹知事を、花束を持った4歳の孫が出迎えた。佐竹知事は「じいじ今度から遊べるからね」と孫の頭をなでながら笑顔を見せた。職員からも花束を受けて1階に下り、大勢の職員や県民に手を振ったり、深々とお辞儀をしたりした後、車に乗り込んだ。
退任後、運動をして体力を維持しながら、これから発足する産学の研究プロジェクトに関わっていく予定という。
新知事の鈴木氏は21日に初登庁し、職員への就任あいさつや記者会見に臨む予定。