石丸伸二(42)、玉木雄一郎(55)、斎藤元彦(47)はなぜ“選挙に強い”のか…? 3人の共通点は「脱オールドメディア」にあった
2025年4月21日(月)12時0分 文春オンライン
「オールドメディアの敗北」との声も…。ネットの力を大きく活用したことで、選挙で大きな存在感を見せた石丸伸二(42)、玉木雄一郎(55)、斎藤元彦(47)の3人。彼らはなぜ選挙に強いのか? そこから見えるテレビや新聞など「オールドメディア」の現在地とは? ニュース解説メディア『The HEADLINE』編集長、初の著書『 カウンターエリート 』(文藝春秋)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/ 後編 を読む)

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政治の主戦場は「ポッドキャストやYouTube」に
世界的な選挙イヤーとなった2024年、世界各地で政治的な地殻変動が相次いだ。
ドナルド・トランプが返り咲いたアメリカ大統領選はもちろん、中国との対立的な姿勢を示す与党が勝利した台湾総統選、日本でも30年ぶりの少数与党という結果となった衆院選、欧州議会でのフランス極右政党・国民連合の勝利など、各国の政治的・社会的変化を示すような選挙結果が相次いだ。
日本は、1955年に自民党が誕生した保守合同以来の「大変革」も指摘され、隣国・韓国では2024年の選挙で少数与党に転落した保守政党のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領が、45年ぶりの戒厳令を発する異常事態も生じている。
政治をめぐる変化は、選挙結果だけに限ったものではない。
これまでアメリカ大統領選は、大手放送局CNNなどでのテレビ討論会が複数回開催されることが通例だったが、今回はポッドキャストやYouTubeが主戦場となった。
たとえば、コメディアンで総合格闘技の解説者などを務めていたジョー・ローガンが主宰するポッドキャストへのトランプの出演回は、公開からわずか1か月で5000万回の再生数を記録した。
副大統領になったJ・D・ヴァンス(同じく約1800万回)や、政府効率化省(DOGE)のトップに就任した起業家イーロン・マスク(約1800万回)の出演回とあわせて、トランプ陣営の再生回数は計1億回にも達する。
こうした変化は、アメリカだけにとどまらない。
日本の都知事選でも、得票数2位となった石丸伸二の躍進を理解する上で、YouTubeの「切り抜き」と呼ばれる短尺動画の存在を無視できない。
「オールドメディアの敗北」の声も…
石丸は広島県安芸高田市の市長時代、同市の公式YouTubeにアップされた市議会での答弁や記者会見の様子が注目されて全国的な知名度を獲得した。ただ、その人気はあくまでネットに限ったものと見られており、主流メディアの扱いは大きくなかった。ところが選挙戦中盤頃から、YouTubeなどでの急速な存在感の拡大は無視できないものとなり、最終的に「石丸現象」と呼ばれる旋風に至った。
同年の衆院選で躍進した国民民主党の玉木雄一郎代表も、2024年にネットの力を最大限活用した一人だ。6年前からYouTubeチャンネルを開設していた玉木は、ネットの発信力で「圧倒的」だったと分析される。ソーシャルメディア上で情報収集や発信・投票をおこなう新たな有権者層の出現にともない、ネット人気と現実の投票行動が結びつきはじめた。
同年11月におこなわれた兵庫県知事選でも、ネットの力が注目を集めた。そもそも同選挙は、異例のプロセスを辿ってきた。
2024年3月、兵庫県の元幹部職員が斎藤元彦知事のパワハラ疑惑を告発する文書を発表した。しかし、同職員は懲戒処分となり、議会はパワハラ疑惑を調査する百条委員会の結果を待たないまま、知事への不信任を議決した。当初、パワハラ疑惑などが繰り返し報じられたことから斎藤の再選は難しいという見方が強かったものの、ネットで同氏への擁護や議会への非難が強まり、斎藤は出直し選挙で勝利した。
この選挙結果について、斎藤知事のパワハラ疑惑やおねだり疑惑などを繰り返し報じていたテレビなどを念頭に「オールドメディアの敗北」と揶揄する声も多く、大手紙も「混乱と停滞を招いたとして斎藤氏に厳しいスタンスだったメディアへの不信感も斎藤氏にプラスに働いた可能性がある」と振り返った。
〈 「感度悪い」「テイラー・スウィフトは俗物の典型」 なぜ世界中でマスコミやエリートへの怒りが燃え上がっているのか 〉へ続く
(石田 健/Webオリジナル(外部転載))
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