関税交渉と安全保障の問題「リンクさせて考えるべきだと思っていない」…石破首相「事の本質おかしくなる」
2025年4月22日(火)6時35分 読売新聞
参院予算委員会で答弁する赤沢経済再生相(左端は石破首相)(21日午前、国会で)
石破首相は21日の参院予算委員会で、米国による関税措置の見直しに向けた交渉を巡り、「安全保障の問題をリンクさせて考えるべきだと思っていない」と述べた。「分けて議論していかないと事の本質がおかしくなる」と強調し、関税交渉と安全保障の議論を切り離す考えを示した。
首相は、在日米軍の駐留経費の日本側負担(思いやり予算)について、「日本は他の国よりも非常に多くの負担をしている」と指摘し、「唯々諾々と言われるとおり負担を増やすつもりはない」と述べた。
16日に米国で行われた交渉にトランプ大統領が参加したことに関しては、首相は「大統領が最初から出てくるのは見たことがない。想定をかなり超えていた」との認識を示した。「日本との協議を重視している。大統領のリーダーシップで決める。この二つの意味があったのだろう」と分析した。
今回の関税措置と日米貿易協定との整合性については、「重大な懸念を持っている」と表明し、米側に問題提起していく考えを明らかにした。
交渉担当の赤沢経済再生相は、「信頼関係を築く良い一歩になった」と振り返り、「政府一丸となって最優先かつ全力で取り組む」と述べ、今後の交渉に意欲を示した。
国内の経済対策を巡っては、首相は、中小・零細企業への資金繰り支援や雇用対策を講じる方針を説明したほか、物価高対策に注力する考えを強調した。