八潮陥没で下水管の複線化方針、本格復旧には「5~7年」…安否不明男性の捜索ルート確保の工事も続く
2025年4月24日(木)17時19分 読売新聞
事故現場周辺では交通規制が続いている(10日、埼玉県八潮市で)
埼玉県八潮市で県道が陥没しトラックが転落した事故で、県の復旧工法検討委員会は23日会合を開き、事故現場付近に2本目の下水道管を設置する方針を大筋で了承した。複線化によって、災害や事故で片方の下水道管が破損しても利用し続けられるようにする。工事が完了し、本格復旧するのは2029〜31年度頃になる見通しだ。
委員会は非公開で行われた。県側からは、破損箇所に直径約3メートルの下水道管を新たに設置し、その上で陥没現場の周辺約2キロ・メートルに2本目の下水道管を敷設し、複線化する方針が示された。さらに下流部の下水処理施設「中川水循環センター」(三郷市)までの約2キロ・メートルについても複線化を検討する。
出席した委員からは〈1〉複線化方針は適切〈2〉2本目のルートを決める際、既設の下水道管に与えるダメージを考慮すべきだ〈3〉改めて周辺の地質調査が必要——などの意見が出されたが、方向性自体に否定的な意見はなかったという。
会議終了後、森田弘昭委員長(日大教授)は記者団に、「(複線化する新たな管を)短期間で作るのは難しい。5〜7年は妥当だ」との考えを示した。その上で「将来に向けた重要な課題だと認識している。しっかりした助言と議論を進めていきたい」と述べた。県は今後、有識者から意見を聴取したうえで方針を決める。
陥没は、硫化水素による腐食で下水道管が破損したことで起きたとみられているが、詳しい原因はわかっていない。
下水道管内に落下したトラックの運転席部分には、安否不明の男性運転手(74)が取り残されているとみられている。捜索に向けて、流れ込む下水を