立民消費税公約に悲鳴

2025年4月27日(日)21時5分 メディアゴン

植草一秀[経済評論家]

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立憲民主党が参院選公約として食料品の消費税率を1年に限りゼロにすることを掲げることを決めた。

画期的にしょぼい。しょぼい立憲民主党。国民不倫党と合併して「共に悪い民主党」を結成することを推奨する。

1年限りの食料品消費税率ゼロで国民生活が支えられるとでも考えているのだろうか。給付付き税額控除の所得税制度を国会で提案することが1年限りの理由だという。給付付き税額控除の所得税制度が実施されることが決定されているなら1年限りの措置も一定の理解を得られるかもしれない。

立憲民主党が政権を奪取する見通しがゼロであるなかで給付付き税額控除制度が導入される可能性も現時点でゼロ。給付付き税額控除制度導入の見通しがついた段階で、その前提に基づく政策公約を提示すべきである。

立憲民主党は財務省とつるんでいる。「ザイム真理教立憲民主党支部」である。立憲民主党は消費税が社会保障制度の重要な財源だと主張する。

しかし、事実はまったく違う。1990年度の税収と2020年度の税収を比較する。

 1990年度
一般会計税収:60兆円
所得税:26兆円
法人税:18兆円
消費税:5兆円
 2020年度
一般会計税収:61兆円
所得税:19兆円
法人税:11兆円
消費税:21兆円

消費税が導入されたのは1989年度。2023年度までに消費税で509兆円が徴収された。同じ期間に所得税・住民税負担は286兆円減額された。同じ期間に法人の税負担は319兆円減額された。

消費税が社会保障の財源になったというのは真っ赤なウソ。消費税の全額が所得税と法人税の減税に使われた。国の財源による社会保障支出は1年で37兆円程度。したがって、消費税の税収が37兆円になるまでは消費税の税収すべてを社会保障に充当すると「言うことができる」。

これは所得税も法人税も同じ。それぞれの税収が37兆円に達するまでは所得税や法人税の税収すべてを社会保障支出に充当すると「言うことができる」。

「所得税は社会保障の財源だから重要だ」「法人税は社会保障の財源だから重要だ」と「言うことができる」。

お金に色はついていない。消費税だけが社会保障の財源ではない。所得税や法人税を社会保障の財源と位置付けて何の問題もない。問題は税の構成をどうするかだ。

1990年度の税収構造と2020年度の税収構造を比較して、どちらが適正かという問題だ。税収構造として適正なのは1990年度型だ。

税負担の中心を所得税と法人税にしている。所得税と法人税の基本は「能力に応じた負担」。これに対して消費税は最も逆進性が強い税制。所得の少ない人ほど負担率が大きい。

現代日本の最大の経済問題は「格差」。「格差」を是正する経済政策が求められている。「格差」を是正する税制は、消費税を圧縮し、所得税・法人税を中核に位置付けて「能力に応じた負担」を求めること。

1990年度の消費税率は3%。消費税率を3%に戻すのが適正だろう。2020年度から24年度に国税収入が12.6兆円増加。地方を合わせれば15兆円以上の自然増収が生じている。この自然増収を財源に消費税率を5%に引き下げる政策は直ちに実施できる。

しょぼい立憲民主党に期待できない。消費税率をまずは5%に引き下げることを公約に明示する政党・候補者に参院選で投票することが必要だ。

(植草一秀の『知られざる真実』)

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