日本とベトナム、外務防衛協力へ2プラス2創設…チン首相「日本は最重要かつ長期的なパートナー」

2025年4月28日(月)13時34分 読売新聞

出迎えの人々に笑顔を見せるベトナムのファム・ミン・チン首相(中央)と石破首相(左)(28日午前、ハノイの首相府で)=川口正峰撮影

 【ハノイ=山口真史】石破首相は28日午前(日本時間同)、ベトナム・ハノイの首相府でファム・ミン・チン首相と会談した。両氏は、外務・防衛当局の次官級協議(2プラス2)を創設し、初会合を年内に日本で開くことで合意した。海洋進出を図る中国を念頭に、外交・安全保障分野での協力を強化する狙いがある。

 会談でチン氏は「日本を最重要かつ長期的なパートナーとして位置づけている。地域の平和と安定の維持に寄与してほしい」と呼びかけた。石破首相は「自由で開かれたインド太平洋の実現、日ベトナム関係の強化に努めていきたい」と応じた。会談後、両氏は共同記者発表を行った。

 安保分野では、日本が価値観を共有する国に防衛装備品の無償供与などを行う「政府安全保障能力強化支援(OSA)」に関し、ベトナム側が積極的に検討することを表明した。ベトナムはこれまでにOSAの活用例がなく、実現すれば初の事例となる。

 中国は、南シナ海のパラセル(西沙)諸島への進出を進めており、会談ではベトナムの海上保安機関の能力向上に向けた協力も確認した。パラセル諸島は中国やベトナムなどが領有権を主張している。

 経済分野では、米国の関税措置を踏まえ、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序や、多角的自由貿易体制の維持・強化に向けて、連携することで一致した。

 このほか、両氏は、ベトナムが半導体人材の育成に力を入れていることを念頭に、両国で協力して人材育成を推進することも申し合わせた。日本提唱の「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」を通じ、脱炭素化と経済成長の両立に取り組む必要性で一致したほか、人工知能(AI)や量子技術、宇宙開発の分野などで協力を進めることも確認した。

 日本には技能実習生や在留資格「特定技能」を中心に多くのベトナム人が来日しており、2024年に在日ベトナム人は60万人に達した。年内に育成就労制度に関する協力覚書の作成を目指すことで合意した。

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