55年前の月の石とは「まったく違う」 ANA HD芝田社長が思わず万博で言ってしまった理由
2025年4月30日(水)20時52分 J-CASTニュース
ANAホールディングス(HD)が2025年4月30日に開いた記者会見で、大阪・関西万博が話題になる一幕があった。芝田浩二社長は4月12日の開会式に出席し、翌13日の開幕初日に会場をめぐった。
訪れたうちのひとつが米国パビリオンで、目玉のひとつは「月の石」だ。月の石は1970年の大阪万博でも展示され、芝田氏は担当者から「これだ」と言われたものの、思わず「まったく違う」と答えてしまったそうだ。なぜ月の石と55年ぶりの「再会」とはならなかったのか。
912グラムの「立派な石」 vs 118グラム
芝田氏によると、米国館は「疑似のロケット体験が映像で楽しめたし、非常に印象的だった」。一方、月の石を見た時、スタッフから
「ミスター・シバタ、1970年に君は月の石を中学校1年生で見たんでしょう? どうだ、感動しただろう、これだ」
と案内され、思わず
「まったく違う」「私が見たのと違う」
と答えてしまったという。
それにはワケがある。1970年に展示された石は、1969年に「嵐の海」で採取され、アポロ12号が地球に持ち帰った。重さは912グラムあり、32億年前の玄武岩だと推定されている。採取の翌年に展示されたことになる。芝田氏は、この石について「『立派な石』だったんですね」とも話した。
一方、今回展示されているのは、72年にアポロ17号が採取した玄武岩。重さは118グラムで、37億年前のものだと推定されている。あまりの大きさの違いに、「まったく違う」と反応してしまったようだ。
9月お披露目の「空飛ぶクルマ」は「上がって降りるだけではなくて海の上を回る」
万博では4機種の「空飛ぶクルマ」を運航予定。そのうちANA HDは、提携関係にある米ジョビー・アビエーションの機体を9月下旬のお披露目予定で、柴田氏は
「ジョビーは、上がって降りるだけではなくて海の上を回るため、まったく規模感が違う飛行機になると思う」
とアピールしていた。
この日ANA HDが発表した24年3月期の決算では、国際線、国内線ともに旅客需要が想定を上回ったことから、売上高は前年同期比10.0%増の2兆2618億円で、過去最高を記録した。一方で、本業のもうけを示す営業利益は5.4%減の1966億円。税金などの減免や補助金が減ったことや、エンジンの点検で飛行機が飛べなかったことに対するメーカーからの補償金を営業外収益に計上したことが影響していると説明している。
(J-CASTニュース編集委員 兼 副編集長 工藤博司)