自治労鳥取県本部に「裏口座」、4口座に計2億円…一般会計の補填に利用か
2025年5月2日(金)9時13分 読売新聞
【地図】鳥取県
全日本自治団体労働組合(自治労)鳥取県本部(鳥取市)に、組合員に公表されていない簿外の「裏口座」が存在することが県本部への取材でわかった。口座は四つあり、残高は計約2億円に上る。県本部は不適切だとして、歴代の役員らに聞き取るなどして経緯や使途の調査を進めている。
県本部によると、2023年秋の執行部交代後の調査で存在を把握。少なくとも10年以上前から県本部執行委員長などの名義で労働金庫の支店に開設されていた。中には「自治労退職者共済執行委員長」名義もあったが、名前があった元役員は読売新聞の取材に、「そのような肩書は存在しないし、なったこともない」としている。
4口座の残高(2023年7月末時点)は、約1億5820万円〜約480万円。県本部の規約では、口座は会計監査を受け、年1度の定期大会で報告する必要があると定められているが、4口座については行われていなかった。通帳は所在不明になっている。
複数の県本部関係者によると、数百万円単位の出金記録がある時期もあり、県本部の一般会計の
歴代の県本部執行委員長の一人は読売新聞の取材に、口座の存在を認め、「今思えば問題だった」と話した。「知らない」「覚えていない」と答えた人もいた。
23年9月に県本部執行委員長に就いた三浦敏樹氏は「組合員にも知らされておらず、許されるべきことではない。調査を進めた上で、今後の対応を検討する」としている。
自治労中央本部(東京)によると、昨年9月頃に県本部から「簿外口座が判明した」と報告があったという。中央本部は「実態が解明されていない口座が見つかり、組合員に説明がつかない状況は正しくない。説明責任を果たす必要がある」としている。
県本部は鳥取県や県内市町村の公務員らでつくる41の組合が加盟し、8094人の組合員が在籍(昨年6月時点)。活動は主に組合費で賄われている。