中国軍、台湾の「LNG基地」攻撃訓練か…4月の演習を研究所分析「対インフラ打撃能力が向上」
2025年5月1日(木)17時30分 読売新聞
中国の国旗
公益財団法人「国家基本問題研究所」は中国軍が4月1、2日に台湾周辺で行った演習の分析結果を発表した。台湾の液化天然ガス(LNG)基地を模擬した目標へのロケット砲実射などが確認され、「対インフラ(社会基盤)打撃や米軍の接近を阻止する能力が向上している」と結論づけた。
分析結果によると、中国軍は台湾西部・永安にあるLNG保管用タンクの基地を模した目標を、中国浙江省沖合の島・南漁山に造り、多連装ロケット砲を撃ち込んだ。台湾は発電の4割以上をLNGに依存するが、貯蔵量は13日分で少ないとされる。実射訓練には台湾の商業活動を阻害できると威嚇する意図があったとみられる。
中国軍はLNGなどの輸入を止めるためのシーレーン(海上交通路)封鎖の訓練も実施し、空母「山東」を含む艦艇が台湾周辺で航行した。中国海警局も民間船舶を取り締まる訓練を行った。退役軍人や漁民らで構成する準軍事組織「海上民兵」を乗せたとみられる船舶も展開した。
訓練に参加した戦略爆撃機「H(轟)6K」が超音速対艦弾道ミサイルを装着していたのも確認された。米軍の接近を防ぐ訓練を行った模様だ。分析結果を公表した中川真紀研究員は「海上封鎖訓練の範囲や練度が向上している」と指摘した。
中国軍は4月1、2日、「『台湾独立』分裂勢力への厳重な警告だ」などと主張して、陸、海、空、ロケット軍による合同演習を台湾周辺で実施した。