水俣病公式確認から69年、未認定患者団体と環境相が懇談…補償・救済の格差是正求める

2025年5月1日(木)12時43分 読売新聞

浅尾環境相(左端)らと懇談する松崎重光さん(右から2人目)ら水俣病の被害者団体(1日午前9時14分、熊本県水俣市で)=板山康成撮影

 公害の原点とされる水俣病は1日、公式確認から69年となった。浅尾環境相は午前、未認定患者団体「水俣病患者連合」など2団体と熊本県水俣市内で懇談。出席した同連合副会長の松崎重光さん(83)は「認定患者も未認定患者も症状は一緒で変わらない」と訴え、両者の間にある補償・救済の格差是正を求めた。

 昨年5月1日に行われた患者・被害者団体と伊藤信太郎環境相(当時)との懇談で、松崎さんは水俣病特有の症状に苦しみながらも患者認定されずに死去した妻・悦子さんについて語っていた際、1団体3分間の持ち時間を過ぎたとして環境省職員からマイクを切られた。この対応が批判され、伊藤氏は後日、水俣を再訪して松崎さんに謝罪した。

 問題を受けて、環境省は今年、浅尾氏が4月30日から水俣入りして各団体と懇談の場を設けた。1日の懇談で、2団体は認定患者の補償に比べて乏しいとされる未認定患者らの療養・福祉支援策について拡充などを要望。浅尾氏は「ニーズを聞きながら、関係者と意見交換を重ねていく」と述べるにとどめ、具体的な是正策には言及しなかった。

 水俣病は、チッソ水俣工場(水俣市)が海に排出した工業廃水に含まれたメチル水銀による中毒症状。熊本、鹿児島両県による審査で患者と認定されたのは計2284人。救済を求める認定申請や集団訴訟は今も続いており、全面解決は見通せない。

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