阪神大震災の地滑りで34人犠牲忘れない、斜面をピンクに…有志が植えたタイムが初めて開花
2025年5月3日(土)11時46分 読売新聞
地滑りの跡地で見頃を迎えたタイム(兵庫県西宮市で)
阪神大震災による大規模な地滑りで住民が亡くなった兵庫県西宮市仁川百合野町地区で、地滑りの跡地斜面に地元ボランティアらが植えた約6000株のタイム・ロンギカウリスが初めて一面に咲き、見頃を迎えている。
花は、地滑りの被害や土砂災害の対策を伝える「仁川百合野町地区地すべり資料館」に隣接した幅約100メートルの二つの斜面に、薄ピンクに咲き誇っている。
この斜面には、地元住民らで作る「ゆりの会」が、同町と、対岸の仁川町で地滑りの犠牲になった計34人を追悼しようと、2004年にシバザクラを植えて育ててきた。近年は株が弱り花がきれいに咲かなくなったことから、昨年2月、タイム・ロンギカウリスに植え替えた。会のメンバーらが週2回、雑草を取るなどの手入れを続けている。
大野七郎代表(79)は「春の空気を感じるとともに、資料館にも足を運んでほしい。若い世代にも地滑りのことを知ってもらうため、この場所を守っていきたい」と話した。