恐竜絶滅原因の隕石、衝突時の熱で海洋生態系が急回復…6600万年前のメキシコ湾

2025年5月7日(水)7時29分 読売新聞

 約6600万年前のメキシコ湾に落下した隕石いんせきで壊滅的な被害を受けた海洋生態系が、隕石衝突時のエネルギーで熱せられた海水によって急速に復活していたことが分かったと、九州大などの国際チームが発表した。高温にさらされた岩石から生物に必要な栄養が溶け出し、生態系回復を促したとしている。論文が、科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに掲載された。

 この隕石は恐竜のほか、地球上の海洋生物の約70%の種も絶滅させたとされる。プランクトンの化石などから、海洋生態系の復活にメキシコ湾外の海域で50万年もかかったと推定される一方、湾内にある隕石のクレーター付近は数万年以内と短く、その原因は謎だった。

 チームが湾内の地下約600メートルの地質試料を分析したところ、マンガンなどの金属が70万年にわたって堆積たいせきし続けていたことが判明。岩石中の金属が熱で溶け出ていたことを示す結果で、隕石衝突時に海水が熱せられていたと推定した。

 地質試料にはプランクトンなどの化石のほか、栄養源となるリンも多く含まれていた。チームは岩石から溶け出した栄養を含む熱水が湾内に広がり、生態系の復活を早めたと結論付けた。

 チームの佐藤峰南ほなみ・九州大助教(地球化学)は「周辺海域の地質も分析し、生態系回復の要因を地球規模で明らかにしたい」と話す。

東京大大気海洋研究所の黒田潤一郎教授(地質学)の話「隕石衝突と熱水があった環境で、化石が適切に保存されていたのかの検証も必要だ」

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