「三河安城駅を時刻通りに通過いたしました」で有名…「次の名古屋までおよそ9分」の駅をもっと知って

2025年5月7日(水)10時40分 読売新聞

 「三河安城駅を時刻通りに通過いたしました」——。名古屋駅に向かう東海道新幹線「のぞみ」の車内放送で知られる三河安城駅(安城市)をPRしようと、同駅の元駅員・篠辺泰介さん(38)が駅のオリジナルグッズを企画した。4月末からJR東海リテイリング・プラス(名古屋市)が販売しており、篠辺さんは「通過してきた人にも駅を身近に感じてほしい」と話している。(桑田睦子)

 同駅に停車するのは、新幹線「こだま」と在来線の普通列車のみ。乗降客は少ないが、1時間に最大12本(東京—新大阪間)が通過する「のぞみ」の下り列車の車内放送で多くの人が駅名を知っており、車掌の「次の名古屋までおよそ9分」の声を聞いて降車の支度をする乗客も多い。

 「通過される駅」として、SNSでも度々話題になったが、篠辺さんは「駅が話題になるのはうれしいけれど、いい駅、いい街なのに降りてもらえないのはもったいない」と、オリジナルグッズの開発を提案。連絡通路の案内板をあしらったマフラータオルやキーホルダー、駅名標のクリアファイルを商品化した。篠辺さんは同駅を視察。マフラータオルなどには丸鼻で親しまれた初代新幹線0系のピクトグラム(図記号)を盛り込んだほか、駅名標の文字のフォントなど、細部にもこだわって再現した。

 篠辺さんはJR東海に入社後すぐの2009〜11年、新幹線の三河安城駅に配属された。改札であいさつをしてくれる通勤客、窓口で「いつものね」と切符を買う高齢の客など、顔なじみが増えた。三河地区の修学旅行生の利用もあり、旅立つ生徒たちをホームに案内して見送ったのも、良い思い出だ。

 同駅勤務から離れた後、在来線の車掌や運転士も務めたが、新人時代を過ごした同駅での日々を「楽しい思い出ばかり」と懐かしむ。今も、出張や帰省で「のぞみ」に乗る際には車窓からホームを見守り、通過後に放送が流れると一安心する。「駅を見て車内放送をしっかりと聞くのが、私の楽しみ方」という。

 大勢の乗客が「通過」の放送を聞く強みを生かそうと、第2弾の商品化の構想も練る。篠辺さんは「三河安城に興味を持ち、話題にしてほしい」と話している。

 グッズは同駅内のベルマートキヨスク、公式オンラインショップで販売。

 問い合わせは、JR東海リテイリング・プラス(0120・919・212)。

 ◆三河安城駅=東海道新幹線と東海道線が乗り入れている。1日平均の乗降客数は新幹線が約3400人、在来線は約9800人。駅前では、安城市や地元の団体が「時刻通りに通過」の印象を逆手に取ったイベントを開いてきた。

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