観光客ゲットだぜ!ポケモンで地域PR…砂地好む「サンド」は鳥取、全国で連携協定が続々

2025年5月9日(金)15時30分 読売新聞

高松郵便局前に設置された、ポケットモンスターのキャラクター「ヤドン」を起用した郵便ポスト(2021年3月、高松市で)

 人気ゲーム「ポケットモンスター(ポケモン)」のキャラクターと連携し、地域をPRする自治体が増えている。現在は12道県が、それぞれ一推しのポケモンを決めてイベントを行い、多くのファンがご当地を訪れている。ポケモン社(東京)にとっても、地域との結びつきが生まれ、キャラが末永く愛されることにつながるという。(鳥取支局 西海直也)

サンドがふるさと大使、物産館の来館1・5倍に

 「今日はサンドが、鳥取砂丘からやって来ました」。鳥取県南部町の県立フラワーパーク「とっとり花回廊」で4月20日に開かれたイベントで、平井伸治知事が来場者にあいさつした。

 県は鳥取砂丘にちなみ、砂地を好むポケモン「サンド」を人以外で初の「とっとりふるさと大使」に任命。県のPRに力を借りている。

 サンドと一緒に写真を撮った同県倉吉市の会社員の男性(40)は「ポケモンのイベントは都会では多いが、こうして地元に来てくれるのはうれしい」と話した。

 県は2024年度、サンドが関わるPR事業に7000万円以上を投入。鳥取市ふるさと物産館では今年3月、地場産品とのコラボ商品を集めた県主催のフェアが開かれ、来館者は前年同月比1・5倍の約5000人となった。好評のため、県は3月末で終了予定だったフェアを5月11日まで延長した。

 県広報課の担当者は「ポケモンファンの行動力はすごい。今後も協力して県の魅力を伝えたい」と話す。

地域イメージに合ったキャラクターで観光PR

 ポケモン社によると、4月現在、北海道から沖縄まで全国12道県が同社と連携協定を締結。地域のイメージに合ったキャラクターを決め、観光PRなどに役立てている。

 自治体や企業は、選んだポケモンのイラストを無償で使用できる。ポケモン社にとって収入には直結しないが、広報担当者は「キャラクターが地元で愛されることでファンが増えるのがうれしい」と話す。

 ポケモンによる地域貢献は、11年の東日本大震災の被災地支援を機に始まったという。16年に宮城県石巻市で行われたスマホ向けゲーム「ポケモンGO」の復興支援イベントには、約1万人のファンが訪れた。

 18年4月には香川県がエープリルフール企画として、「ヤドン」にちなみ、「うどん県」を「ヤドン県」に改名すると発表して話題になった。同県は同年12月に連携協定を締結。その後も協定を結ぶ自治体は徐々に増えた。

「県外の人も興味を持ち、客の新規開拓に」

 地元企業も人気にあやかっている。昨年11月に協定を結んだ高知県では、県民に親しまれている「ミレービスケット」を手がける「野村煎豆いりまめ加工店」(高知市)が「ヌオー」をデザインした商品を発売し、これまで5万5000個以上が売れた。

 鳥取県では1865年創業の練り物メーカー「ちむら」(鳥取市)が昨年8月、パッケージにサンドのイラストをあしらった主力商品「とうふちくわ」を発売。これまで約5000個を売り上げ、千村大輔社長(41)は「県外の人も興味を持って手に取ってくれる。客の新規開拓につながっている」と喜ぶ。

中村彰憲・立命館大教授(コンテンツ産業論)の話「ポケモンには国内外のファンを集める力がある。ポケモン目当ての観光客が地域の『おもてなし』を受け、ご当地に愛着を感じればさらに大きな効果が見込める。ポケモン社にとっても新たなファン層の獲得につながり、相乗効果が生まれている」

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