牛のげっぷに含まれる温室効果ガス・メタン削減へ実証事業…愛知県、発生抑える飼料の効果見極め

2025年5月14日(水)13時52分 読売新聞

メタン削減実証事業が行われる長久手市の県農業総合試験場の牛舎(県農業総合試験場提供)

 愛知県は、牛のげっぷに含まれる温室効果ガスのメタンを削減し、農業分野の脱炭素を進める実証事業に今年度から本格的に乗り出した。メタンは二酸化炭素(CO2)の約25倍の温室効果があり、国内では牛など家畜由来が3割近くを占める。県内で飼育される乳用牛は全国8位の約1万8500頭。酪農県として、独自のメタン削減飼料の開発も目指している。

 農林水産省によると2022年度、農林水産分野で国内で排出された温室効果ガスは二酸化炭素換算で4790万トン。このうち半分近くが牛のげっぷや水田から排出されるメタンだった。

 政府は30年度までに農林水産分野の温室効果ガスを3・5%削減する目標を掲げており、家畜の飼料管理や、田から水を抜く「中干し」期間の延長など様々な削減対策の普及を図っている。

 県畜産課は、酪農家や乳業会社へ畜産分野のカーボンニュートラルに関するアンケートを実施。メタン削減の取り組みで県に期待することでは、メタン削減飼料の開発が約半数を占めた。これを受け、県農業総合試験場(長久手市)は24年度から実証事業を始めた。

 メタン発生を抑える物質を含み、乳量が増えるなど生産性も上がるとされるカシューナッツ殻液や海藻「カギケノリ」を、トウモロコシなどの配合飼料に混ぜて牛に与え、安全性や乳量への影響を確認している。

 25〜26年度には、20頭いる乳牛舎を改築し、メタンガス測定器と搾乳ロボットを整備する。メタン削減飼料による抑制効果や乳量の変化などを調べて、効果が確認されれば、県内の畜産農家にメタン削減飼料の普及を進める方針だ。

 将来的には、メタン抑制効果が報告されているギンナンや柿の皮など未利用の資源を活用し、県独自のメタン削減飼料の開発も目指す。同様の取り組みは23年度から北海道で道や大学、農業団体などが協力して進めている。

 県農業総合試験場の伊藤大樹さん(31)は、「手探りではあるが、農業分野での脱炭素を関係団体と協力して進めていきたい」と話している。

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