「タメ口」に怒り万博会場に「凸ります」→通報 ナウル政府機関のXめぐり騒動、本人は実行意志否定
2025年5月21日(水)18時40分 J-CASTニュース
大阪・関西万博にパビリオンを出展しているナウル共和国の政府観光局の公式Xが「タメ口」を使ったとして、Xユーザーが会場に突撃するかのような投稿をして、観光局が大阪府警などに警備強化を求める事態になった。
しかし、府警がユーザーを事情聴取したところ、突撃する意志は否定したという。府警によると、ナウル共和国側も、被害届を出さないとの意向を示したとしている。
「『バカヤロー』とか使わない方が良い」とたしなめたが...
ナウル共和国は、ハワイとオーストラリアの間の南太平洋上にあり、人口1万2000人ほどの小さな島国だ。かつてはリン鉱石の産地として知られた。
同国政府観光局の公式Xは、ユーモアを挟んだゆるい投稿で人気を集めており、フォロワーは、人口を大幅に上回る52万人以上いる。
万博にもパビリオンを出して、南洋の魅力をPRしている。意味ありげな何もない台座などの展示が話題になり、フォロワーらと活発なやり取りをしている。
ところが、公式Xで、展示の解説について、自民党の小泉進次郎衆院議員の独特な「構文」を引き合いに出したところ、疑問や批判も出た。その結果、X担当者が厳重注意を受けて、3日間の謹慎処分になったと投稿した。
謹慎が明けた2025年5月20日、X担当者が発信を始めると、リプライを寄せたXユーザーから「お前、謹慎解けたばかりの分際なのにタメ口使ってポストしてるんじゃねーよバカヤロー」などと罵倒された。
これに対し、観光局は、この投稿を引用して、「人前で『バカヤロー』とか使わない方が良いですよ」とたしなめたが、ユーザーは、「『タメ口』が許されて『バカヤロー』が許されない意味が全く理解できませんね」と反論した。そして、「タメ口=人をナメてると捉えられる」などとして、こう書きこんだ。
「万博会場へ凸りますかね笑」
観光局は、これは脅しではないかなどとして、「万が一を考えて、本国政府、万博協会、警察にも相談します」と明らかにした。そして、「お知らせ」として、次のような投稿をした。
「大事にしたくないので、これで終わりにしたい」
「大阪万博ナウル共和国パビリオンに威力業務妨害を示唆するような声明がありました。当館には女性スタッフも多いことから本国政府と協議の結果、大阪府警察万博対策本部会場警察隊並びに公益社団法人2025年日本国際博覧会協会に本件を通報し、警備強化を依頼させていただくこととします」
その後、「凸ります」としたユーザーは、自らの言動に責任を持てないX担当者でいいのかと批判し、この投稿だけでは警察に逮捕されないはずだと強気だった。その一方で、ユーザーヘの批判も相次ぎ、ユーザーは、アカウントを非公開にする対応を取った。その後、一連の投稿について、「Xルールに違反している」として、アカウントは凍結された。
この騒ぎについて、万博を担当する大阪府警の会場警察隊は5月21日、J-CASTニュースの取材に対し、ユーザーから同隊に電話があって説明を受けたと明かした。同隊がユーザーに事情聴取したところ、会場に突撃するかのような投稿について、「そのような気持ちで書いていない」と否定したという。
同隊では、ユーザーの書き込みを知って、日本国際博覧会協会(万博協会)の担当者からも話を聞いたと説明した。この担当者からは、ナウル共和国のカントリーマネージャーが「大事にしたくないので、これで終わりにしたい」との意向を示したとし、威力業務妨害などの被害届を出さないことを伝えられたという。その結果、同隊では、今後について、「万博の通常警戒を続けていきます」としている。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)