今井絵理子、生稲晃子両参院議員、議員立法は「ゼロ」 福祉・医療で活動もXでは炎上...政治評論家の見立ては
2025年5月23日(金)12時52分 J-CASTニュース
アイドル出身の自民党の今井絵理子(41)、生稲晃子(57)両参院議員について、議員立法がゼロとカウントされていると、Xで話題になっている。
2人とも、身近な経験を生かし、福祉・医療分野などで活動しているが、ネット上で目立つのは、バッシングばかりだ。実際の政治家としての資質はどうなのだろうか。そもそも、与党議員が議員立法をしないことは問題なのか。
2人への批判投稿に、12万件以上の「いいね」
今井絵理子氏は、アイドルグループ「SPEED」出身で、2016年に比例代表で初当選し、現在は2期目だ。石破茂内閣では、出身地の沖縄問題などを担当する内閣府政務官や復興政務官を務めている。公式Xなどでは、各地の会合に参加する様子を盛んに投稿している。
一方、生稲晃子氏は、アイドルグループ「おニャン子クラブ」出身で、22年7月に東京都選挙区で初当選した。石破内閣では、外務政務官を務めている。ブログなどでは、海外視察で高官らと歓談する様子を次々に紹介している。
25年7月に見込まれる参院選については、2人は改選予定ではない。しかし、選挙が近づいてきていることもあってか、2人がXでクローズアップされた。
あるユーザーが5月21日、AIを使ったチャットボット「Grok」を使って2人を調べたところ、議員立法の提出件数がゼロだったと投稿した。2人を批判したところ、大きな反響を呼んで、12万件以上の「いいね」が集まっている。
確かに、日本法令索引の公式サイトで、法律案・条約承認案件について2人の名前を検索すると、国会図書館のページにおける検索結果が「0件」と表示される。議員立法がゼロというのは、あながち間違いではないようだ。
ただ、今井氏の公式サイトでは、21年に成立した「医療的ケア児支援法」について、議員立法で成立させたとある。今国会では、手話施策推進法の超党派議員連盟の事務局長として議員立法へ動いている。
この点について、参議院の広報課などは5月22日、J-CASTニュースの取材に対し、医療的ケア児支援法は当時、衆院厚生労働委員会が起草して委員長が提案したと説明した。議員立法の1つの形ではあるといい、自民党の野田聖子衆院議員らを中心に、今井氏も超党派で動いていたということのようだ。
「ゼロでもダメではないが、問題解決に動かす力が必要」
今井氏は、現在はプロレスラーとして活躍する長男に聴覚障害があり、福祉に関心を持って、NHK「みんなの手話」の司会も務めた。今回、手話施策推進法の成立に向けて動いているのは、そんな経緯があるようだ。
一方、生稲氏は、11年に乳がんと診断され、闘病を続けてきた経験がある。闘病中でも働きやすい環境について、16年に政府の「働き方改革実現会議」(議長・安倍晋三首相)の民間議員となって発言したことが政治家になるきっかけとされており、選挙中などもそうした経験を訴えていた。
議員立法はゼロといっても、2人は、政治家としての資質があるのだろうか。
政治評論家の有馬晴海さんは5月22日、議員立法の有無について、取材にこう話した。
「議員立法は、問題意識があることの現れですが、それがないからといって、ダメということではありません。与党議員としては、党内での議論に加わるなどした結果、政府提出で法案が成立するのが普通の流れになります。議員立法の場合は、法律になってしまうので、時代に合ったいい案でないといけません。野党では、廃案になる可能性が高いので、議員提案の本数があれば、それだけ活動しているという資質になっています」
ただ、今井氏や生稲氏が福祉・医療活動などに動いているとしても、それだけでは政治家の資質があるとは言えないと有馬さんは指摘する。
「こうした施策を訴えると、政治をやっているように見えますが、福祉などは、もうすでに政府が整備していることも多いですね。政治家の資質としては、問題が発生したときに、その渦中で解決に向けて動かす力が大事になります」
内閣府政務官などは、2期目になれば、順番で回ってくることが多いという。1期目でも、外務政務官は普通の人事だとした。
「仕事は、官僚がやりますので、女性だから選ばれたのだと思います。本当なら、トランプ政権などとチャンネルを作って、海外との交渉をガンガンやらないといけないわけです。2人は、タレント議員の知名度がありますので、政府代表として会合などで喜んでもらうのに都合がいいということでしょう。次の参院選でも、司会などとして使い回されることになると思います」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)