尖閣周辺の日本船を名指しで「退去を警告した」、中国海警がSNS投稿繰り返す…実効支配を宣伝か

2024年7月5日(金)15時0分 読売新聞

 尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺に船を送り込み、領海侵入を繰り返している中国海警局が、中国のSNS「微博(ウェイボー)」で、尖閣沖で操業する日本漁船などを名指しし、<退去するように警告した>とする投稿を繰り返している。昨年7月頃から始まった動きで、個々の漁船を監視していると強調し、尖閣の実効支配をアピールする狙いがあるとみられる。

 海警局による微博公式アカウントへの投稿は、同局が中国軍を統括する中央軍事委員会の傘下に入った2018年7月から確認できる。22年までは<海警局艦隊は我が釣魚島(尖閣諸島の中国名)の領海内を巡航した>とするほぼ定型の投稿を続けていた。

 初めて日本の船舶を名指ししたのは23年1月とみられ、石垣市が尖閣沖で海洋調査をしたタイミングだった。

 このとき現場では、同市の中山義隆市長らが乗った作業船が海保の巡視船に守られながら航行。周辺では日本漁船4隻も操業していた。

 海警局はこの動きに、<(作業船を含む)日本船5隻が領海に不法侵入した>とし、<中国海警局は同船に対し、法に基づいて必要な措置を講じ、退去するよう警告した>と主張した。

 操業する日本漁船を名指しするようになったのは、23年7月からとみられる。微博では、石垣市や与那国町などの少なくとも5隻の名前が確認できる。

 尖閣沖で警備活動をする海保の巡視船については、23年10月以降、「領海侵入」から「不法侵入」と表現を強めて投稿している。

 海警船は23年3月以降、尖閣の周辺海域で船舶自動識別装置(AIS)を作動させ、自らの位置などを周囲に知らせるようになった。こうした動きとともに、「現場で日本漁船に退去を求めた」という主張を重ね、実効支配につなげる狙いがあるとみられる。

 さらに中国政府は6月、中国が主張する管轄海域に侵入した外国人を海警局が最長60日拘束できる新たな規定を施行した。尖閣諸島周辺にも適用されるとみられている。

 日本政府は海警船が領海侵入した際に、海上保安庁の巡視船が現場で退去要求を行い、外交ルートを通じて抗議している。しかし海警船は同諸島周辺での航行を常態化させている。

 政府は海警船の活動について「そもそも国際法違反で断じて容認できない。尖閣諸島は歴史的にも国際法上も疑いのない日本固有の領土だ。冷静かつ毅然きぜんと対処する」としている。

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