海にも落雷 遊泳やサーフィン中は逃げられない!?

2020年8月29日(土)5時48分 ウェザーニュース

2020/08/29 05:49 ウェザーニュース

雷はどこにでも落ちます。陸上なら高いビルや鉄塔によく落雷しますが、海上では船やサーファーが落雷の標的になります。一度の落雷で6人が死亡し、7人が重軽傷を負った事故も起こっているのです。この季節、海水浴やサーフィン、釣りなどの海のレジャーに出かける人は、十分に注意する必要があります。

海に落雷、気絶して溺死も

高い建物などが何もない海上では、遊泳者やサーファーなどは雷が落ちる標的になります。また、直撃しなくても、雷が水中で拡散することで、周辺の人も感電してしまうのです。
高知県の海岸でサーファー集団に落雷した事故例では、直撃雷を受けたサーファーは感電死、その付近にいたサーファーが気絶して溺死したことがありました。
この事故が起こったのは、1987年8月5日、高知県東洋町の生見海岸でした。早朝から激しい雨にもかかわらず50〜60人がサーフィンをしていましたが、雷鳴が聞こえたため、20人ほどが岸に上がり、残りのサーファーはサーフィンを続けていました。
午前6時45分ごろ、サーファーに落雷し、20人ほどが気を失って海に浮かびました。無事だったサーファーや付近の民宿の人が救助しましたが、6人が死亡、7人が重軽症を負いました。事故の直後、現場の海は不気味に赤茶けて泡立っていたといいます。
このとき雷の直撃を受けたのは1人で死因は感電死、付近にいた5人は気絶して溺死したと伝えられています。

類似の落雷事故は2005年にも

サーフィン中に落雷で死傷した事故は18年後にも起こっています。2005年4月3日、福岡県志摩町の野北海岸でサーフィン大会が予定されていましたが、悪天候で中止されました。
その日の夕刻、約30人がサーフィンをしていましたが、雷が鳴り始めました。多くのサーファーが砂浜に引き上げましたが、5人が残ってサーフィンをしていたところ落雷があり、男性が意識不明の重体、女性が重症、他の3人が軽傷を負いました。「ドーン」という音とともに海に雷が落ちて、海水を通じて感電したのです。意識不明の男性は、入院していた病院で18日後に亡くなりました。
事例が少なくて、落雷した地点から何m離れていると安全で、それ以内は危険という定量的な基準は現在のところありません。
2つの事例をみると、雷鳴を聞いて海から引き上げた人と海に残ってサーフィンを続けた人の判断の違いが生死を分けました。海にも雷が落ちるし、それで死傷することがあるのです。
雷はサーファーも遊泳者も区別しません。気象情報に十分に注意することはもちろん、身の安全のために、雷が鳴ったら海に入っている人は直ちに浜辺に引き上げて、鉄筋コンクリートの建物や、自動車などのより安全な空間に避難しましょう。もし、そのような場所が近くにない場合は、できるだけ低い姿勢で雷をやり過ごしてください。

参考資料など

『雷(極端気象シリーズ)』(小林文明・成山堂書店)、気象庁「雷から身を守るには」(https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/toppuu/thunder4-3.html)

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