インフルエンザウイルスはどこから? 今年の流行が早い理由

2019年12月4日(水)5時40分 ウェザーニュース


2019/12/04 05:40 ウェザーニュース

例年は12月中旬以降に流行期を迎えるインフルエンザですが、今年は11月中旬に流行が始まりました。
インフルエンザがなぜ冬に流行するのかを探ると、今年の流行が例年より1か月早まった理由が見えて来るかもしれません。

冬にインフルが流行する理由は?

インフルエンザが北半球の温帯地方で冬に流行する理由は諸説あります。冬は気温も湿度も低くなりインフルエンザウイルスが好む環境になるから(低温乾燥説)、冬は陽射しが弱くなるためビタミンDの体内生産が減って免疫力が低下するから(ビタミンD低下説)、北方からインフルエンザウイルスを持った渡り鳥が渡ってくるから(渡り鳥説)などです。
「それぞれの説は実験や観測に基づいて提唱されていますが、反論の余地があります。たとえば低温乾燥説は、高温高湿度の熱帯・亜熱帯地方ではインフルエンザが年間を通して流行している理由を説明しきれません」と言うのは、横浜相原病院(神奈川県横浜市)の吉田勝明院長です。

注目される「渡り鳥早期飛来説」

「インフルエンザの流行に季節性がある地域と、季節性がない地域があるので、冬に流行する理由を一律に説明するのは難しいのです」と吉田院長は前置きして、「今年の日本でインフルエンザが早期に流行した理由は、渡り鳥が例年より早く渡ってきた可能性があります」と付け加えます。
渡り鳥説はこうです。インフルエンザウイルスは、冬の間、シベリア、アラスカ、カナダなどの北極圏近くで、凍りついた湖や沼の中にじっと潜んでいます。春になって渡り鳥のカモやガンなどの水鳥が繁殖のために戻ってくると、ウイルスは水鳥の体内に潜り込み腸管で繁殖します。
渡り鳥はウイルスと共存できるため発症することはなく、繁殖地と越冬地を移動する途中で糞をまき散らします。そのウイルスが哺乳類の豚に取り込まれると人に感染しやすくなり、冬になるとインフルエンザが流行するというのです。
その渡り鳥がいつもより早く日本に渡って来れば、インフルエンザの流行が早まります。

気候変動が感染症の流行に影響

「渡り鳥がいつもより早く渡ってきたとしたら、北極圏付近の気温が例年より早く低下したことが考えられます。冬の訪れが早かったのです。地球温暖化は気温が高くなるだけでなく、逆にこれまでより気温が低下する地域もあります。この『渡り鳥早期飛来説』は、北極圏の気温変化や渡り鳥の観測記録などのデータとさらに照らし合わせて検証する必要があります」(吉田院長)
インフルエンザの流行が早ければ、例年より感染する人が増えるとみられています。早めの予防注射とマスクや手洗い、十分な睡眠などで予防してください。


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