世界初 メガワット級の航空機ジェットエンジン後方に搭載可能な電動機を開発

2024年1月12日(金)16時16分 PR TIMES

〜CO2 削減に向け,航空機システム全体のエネルギーマネジメント最適化を目指す〜

[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/89117/148/89117-148-4089aaa5e230d2c6c3fcdeb57d8e75cd-685x235.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
IHIは,航空機のCO2排出量削減に向けた技術革新として,エンジンを含む航空機システム全体のエネルギーマネジメントの最適化を目指す「航空機・エンジン電動化システム(More Electric Architecture for Aircraft and Propulsion,以下「MEAAP(ミープ)」)」を提唱しています。その実現に向けて,このたび,ジェットエンジン後方のテールコーン(*1)内部に搭載可能なものとしては世界初となる1MW級(*2)の電動機(*3)を,国内各社と連携し,開発しました。
本開発は,国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO:理事長 斎藤 保)の「航空機用先進システム実用化プロジェクト」の委託業務「次世代エンジン電動推進システム研究開発/電動ハイブリッドシステム」において実施したものです。

ジェット旅客機の運航機数は,旅客需要の増加に伴い,今後20 年間で約2 倍に増加すると見込まれる一方で,国連の専門組織である国際民間航空機関(ICAO)は,航空機が排出するCO2 を2050 年に実質ゼロにする目標を採択しました。このためには,従来の技術改善のみならず,安全性・経済性を維持しつつ,環境性を飛躍的に向上させる新たな航空機システムの実現が必要です。
MEAAP は,単なる機器の電動化にとどまらず,現状,有効利用されず機外に排出されている客室の空気を電気機器の冷却に再利用するなど,エンジンを含む航空機システムの最適化により,飛躍的な低燃費の実現を目指すものです。これは,従来の複雑な油圧・空気圧系統などを不要とすることから,設計自由度や整備性の向上および質量軽減を可能とします。この実現に向け,IHI は国内外各社と連携し,様々な研究開発に取り組んでいます。

今回開発したエンジン内蔵型電動機は,航空機内の電力需要増加に対応するための電力供給源としてだけでなく,現在、世界的に研究開発が行われているハイブリッド電動推進システムにおける重要なキー技術として適用可能なものです。

IHIは,2020年3月に現在運航中の旅客機に搭載されている最大の発電機容量クラスとして,250kW級のエンジン内蔵型電動機の開発に成功しています。今回の開発では,(*4)当時開発した300 ℃耐熱絶縁被膜を有する高密度成形コイル技術やジェットエンジンの研究開発で培った熱・流体 ・構造 技術を活かした新開発の排熱システム技術に加え,発電機構造の見直しによる効率改善を図ることで,ハイブリッド電動推進システムとして適用可能となる1MW級の出力が可能な電動機を実現しました。
また,この電動機は,出力要求の変化に応じて柔軟に対応することが可能な設計としています。
今回の開発にあたっては,国内最大規模の電動機評価設備を有する秋田大学電動化システム共同研究センター(*5)の新世代モーター特性評価ラボ(秋田県秋田市)にて評価を実施しました。その結果,テールコーン内部にエンジン軸直結した場合の回転数において,期待される性能が得られることを確認しました。
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/89117/148/89117-148-3d42b0841094a461d6ba38f109d0cbbe-1295x965.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]電動化システム共同研究センター 新世代モーター特性評価ラボでの評価
IHIは,引き続き航空機の電動化に向けたハイブリッド電動推進システムの開発に取り組み,エンジン内蔵型電動機に対しては,2020年代半ばにはエンジンに搭載した形態での実証を行うことを目標に開発を進めていきます。同じく開発を進めている航空機推進用大出力電動モータ(*6),燃料電池の空気供給を担う電動ターボコンプレッサ(*7),高磁束プラスチック磁石ロータ(8),電動水素ターボブロア(9)を組み合わせ,将来のハイブリッド電動推進システムを含む様々な推進システムから航空機システム全体の電動化・最適化にも取り組んでいきます。


(*1)テールコーン
高温となるジェットエンジン低圧タービン後方に位置し,排気の流れを整える部品。
従来の航空機は,ギアやシャフト機構を介してエンジン外側に搭載した電動機とエンジン回転軸をつなぎ発電しているが,大容量化のためには,機器が大型化し空気抵抗増加などを招くため,電動機をエンジン回転軸に直結するエンジン内蔵型電動機を開発。エンジンのうち,最も運用性や整備性に優れる電動機の搭載位置がテールコーン内部。
(*2) 1MW級
将来のハイブリッド電動推進用として,世界的な開発ターゲットとなっている出力レベルを確保。
(*3) 電動機
本稿においては,電動機( Electric Motor )だけでなく発電機 Generator )の意味も含んでおり,航空機に必要な電力を発電するとともに,将来的に電力でファンを駆動することも目指している。
(*4) 2020年3月30日 世界初,ジェットエンジン後方に搭載可能なエンジン内蔵型電動機を開発
〜CO2削減に向け,航空機システム全体のエネルギーマネジメント最適化を目指す〜
https://www.ihi.co.jp/all_news/2019/aeroengine_space_defense/1196481_1594.html
(*5) 電動化システム共同研究センター
秋田大学が内閣府「地方大学・地域産業創生交付金」の交付事業を受け,秋田県立大学(学長:福田裕穂氏)と共同で運営する電動化システム共同研究センターを2021年4月に設置。
(*6) 2023年03月31日 航空機推進系大出力電動モータの試作機の開発に成功
https://www.ihi.co.jp/all_news/2022/other/1198232_3483.html
(*7) 2023年6月16日 軽量・小型で世界最高レベル出力の電動ターボコンプレッサを開発 〜空気軸受の独自開発により,航空機用燃料電池推進システムを実現〜
https://www.ihi.co.jp/all_news/2023/technology/1199829_3546.html
(*8) 2023年6月15日 航空機・車載システム向け超高速モータ用高磁束プラスチック磁石ロータ(回転子)の開発に成功
〜モータの大出力化・小型化・軽量化および製造時間・コスト削減を可能に〜
https://www.ihi.co.jp/all_news/2023/technology/1199830_3546.html
(*9) 2023年11月13日 航空機燃料電池向け世界最高レベルの大容量水素再循環装置の実証に成功
〜電動水素ターボブロアの小型化および高耐久性を実現〜
https://www.ihi.co.jp/all_news/2023/technology/1200416_3546.html


[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/89117/148/89117-148-644589e0ab5071ebaccf337fb428f7bd-2354x1165.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]

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